2002年5月9日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党など野党四党は、鈴木宗男衆院議員の疑惑解明のために再喚問を一致して要求しています。
自民、公明など与党はこれを拒否し、疑惑にフタをする態度をとり続けています。
北方四島支援事業を利権の手段にし国政をねじまげた鈴木氏の疑惑は、鈴木事務所での業者との談合で秘書が逮捕されたことにより、いっそう深まりました。
「ムネオハウス」入札疑惑への秘書の関与を否定した鈴木氏の偽証は決定的になりました。野党は鈴木氏を偽証罪で告発していますが、与党はその議決を拒否しています。
鈴木氏が、国政を国民から負託された国会議員でありながら、それを食いものにした責任の重大さからも、議員を辞職するのが当然です。
鈴木議員辞職勧告決議案の本会議採決を阻んできた自民、公明など与党の責任が厳しく問われます。
なによりも異常なのは、鈴木氏の疑惑がここまで深まり、圧倒的多数の国民の要求を受けて野党が一致して求めている鈴木氏の再喚問を、与党が拒否していることです。
国会が憲法で定められた国政調査権を使って鈴木氏疑惑の全容を解明することは、国政を進める上で緊急不可欠の課題になっています。
鈴木氏の疑惑は、北方四島支援事業をめぐる疑惑をはじめ、外国大使の証明書発給妨害、ケニア水力発電所など多くの分野に及んでいます。
四島支援事業を食いものにした税金の還流は、公共事業の口利きなど自民党政治に深く広くはびこる政官財癒着の醜悪な姿を示しています。
鈴木氏は、「ムネオハウス」が示すように、官房副長官の官職を利用して税金を自らの懐に還流させるために、外務官僚を動かし、公共事業の入札のルールまで変えさせていました。
とりわけ重大で、早急な解明が必要なのは、その国政私物化の害悪が、現に政治に悪影響を及ぼしている問題です。
日本共産党の志位和夫委員長が外務省内部文書で明らかにした日ロ領土交渉をめぐる二元外交は、腐敗政治が公共事業を食いものにするだけでなく、日本の国益をいかに損なうものであるかを示しています。
ここまで事態が進み疑惑がいちだんと深まっているにもかかわらず、与党が鈴木氏再喚問を拒否し続けるのはなぜか。疑惑の徹底解明が自らの利益にならないからなのか。これでは鈴木氏と同罪です。
加藤紘一元幹事長や井上裕前参院議長を議員辞職に追いこんだ秘書による公共事業の口利き疑惑にしても、自民党議員の間では常態化しているとされています。
行政をゆがめて企業の利益をはかり、その見返りに企業献金を受けるのは自民党政治そのものです。
小泉首相の責任も重大です。
森前首相から引き継ぎ、自らもそのレールにのった対ロ二元外交の調査さえしないのであれば、首相こそ疑惑隠しの張本人といわれても仕方がありません。
首相はいつまで「鈴木氏本人の問題」などと人ごと扱いしておくつもりでしょうか。これは自民党総裁としての首相の問題でもあります。「自民党をぶっ壊す」どころか、醜悪な自民党政治そのものの温存に走っていることが、国民の不信と怒りを増幅させているのです。
小泉首相と与党は、鈴木氏の再喚問にただちに応じるべきです。