2002年5月11日(土)「しんぶん赤旗」
自民、公明、保守の与党三党は十日の衆院予算委員会で、日本共産党など野党四党が共同提出した鈴木宗男衆院議員を議院証言法違反(偽証罪)で告発することを求めた動議を反対多数で否決しました。偽証告発の議決で委員会を開き、否決したのは国政史上初めて。与党は鈴木氏に対する再度の証人喚問も拒否しており、疑惑解明にフタをする姿勢を示しました。
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鈴木氏は、三月十一日に行われた同委員会の証人喚問で、「ムネオハウス」の建設工事入札での秘書の関与を全面否定しました。しかし、鈴木氏の公設秘書が四月三十日に偽計業務妨害容疑で逮捕され、野党側は鈴木氏の証言は偽証にあたるとして、同委員会による鈴木氏の告発を求める動議を提出したものです。
与党三党を代表して意見表明した自民党の藤井孝男議員は、「偽証となる判断材料はない。何ももっていない」と鈴木氏をかばいだてし、野党が国政調査権の発動として要求する再喚問にも「司法手続きと競合することであり、自重すべき」だと述べました。
賛成の意見表明に立った日本共産党の佐々木憲昭議員は、入札・受注への鈴木氏の関与の追及や、外務省の公表文書などで鈴木氏と秘書の関与疑惑がいよいよ濃厚となるなかで、秘書が逮捕されたと指摘し、偽証の疑いはきわめて濃厚だと強調しました。議院証言法の規定にもとづき、偽証告発することは当然と強調。告発しないことは「明白な偽証の疑いを多数で抹殺するにほかならない。まさに前代未聞の愚挙であり、本委員会の権威を著しく失墜させるもの」と批判しました。
否決を受けて四野党は国対委員長会談を開き、「与党の多数で動議を否決したことは重大な問題だ」との認識で一致。鈴木氏に対する議員辞職勧告決議案を衆院本会議で採決するよう、十三日の衆院議院運営委員会理事会で求めていくことを確認しました。