2002年5月13日(月)「しんぶん赤旗」
鈴木宗男衆院議員のウソの証言を放置したまま、真相解明のための再証人喚問も拒否した自民、公明、保守の与党三党。週明けの十三日には、鈴木氏の辞職勧告決議案の取り扱いが衆院議院運営委員会理事会で協議されることになっており、与党の対応が厳しく問われます。
与党は三月二十日の議運委で、「いまだ疑惑の段階にとどまっている、時期尚早」(公明党)などといい、野党が提出した辞職勧告決議案の本会議採決を求める動議を葬りました。しかしその後、鈴木氏の公設秘書逮捕で世論が厳しくなると「事態は変わった」と採決の容認姿勢に転換。それは、鈴木氏の“自発的”辞職を前提にしたものでした。
ところが、鈴木氏本人の辞職の意思がまったくないとわかると、自民党の山崎拓幹事長は「本人の違法行為が明らかになったわけではない」(十日)と採決に反対する考えを表明。小泉首相も「本人が辞めないと思っているのに、拘束力のない決議をする必要があるのか」(同)と同調しています。
しかし、疑惑にフタをする与党への世論の批判は強く、本会議上程、採決を容認する声も出ています。十二日のテレビ番組で、自民党の町村信孝幹事長代理は「本会議上程は認めてもいいのではないか」、公明党の太田昭宏幹事長代理は「上程の方向に議論が集約されるかもしれない」、保守党の二階俊博幹事長も「(与党)三党がこぞってどういう行動をとるということはやるべきではない」とのべました。
焦点となっている「ムネオハウス」疑惑は、鈴木氏が外務省に圧力をかけて入札要件を不当にねじまげたうえ、自分の後援企業に受注させ、そこから政治献金をうけていたというものです。
この事件では、鈴木氏の秘書が逮捕されており、「秘書はかかわっていなかった」という、鈴木氏が三月十一日の証人喚問で行った証言が偽証である疑いはきわめて濃厚。鈴木氏自身がどう関与したのかをふくめて、真相を徹底解明し、政治的、道義的責任を明らかにすることは、国会の最低限の責務です。
この問題をあいまいにしたまま、有事法制、医療改悪など悪法強行の党略的思惑から、ムネオ疑惑の幕引きをはかることは許されません。
参院でも、前政策秘書の逮捕で議員辞職した井上裕前議長の証人喚問の協議が焦点になっています。