2002年5月16日(木)「しんぶん赤旗」
十五日の参院本会議で日本共産党の小泉親司議員は、中国・瀋陽総領事館事件の外務省報告に関連し、日本側主張の矛盾点や、北朝鮮からの脱出者にたいする日本政府の対応などを中心にただしました。
 質問する小泉親司議員。左奥は小泉純一郎首相＝１５日、参院本会議 |
小泉議員は、北朝鮮からの脱出者に関し小泉純一郎首相が「在外公館に侵入した場合を念頭に対処を準備し、関係公館に伝達していた」（十四日の衆院本会議）と答弁したことをとりあげ、「侵入」というのは「侵し入る」ということであり、それへの対処は「受け入れ阻止の措置をとるということか」と質問。小泉首相は「身元が確認されていない不審者を安易に入館させていない」「あらゆる場合に受け入れ阻止の措置をとるということではない」とのべ、事実上、受け入れ阻止の措置をとっていることを認めました。
事件への総領事館側の対応では、北朝鮮からの脱出者の一人が警備担当副領事に手紙を渡し、副領事がそのまま本人に返したことが明らかになっています。
小泉議員が「（副領事が）受け入れ拒否の意思表示をしたことになるのではないか」と指摘したのにたいし、川口順子外相は「英語でタイプ打ちされたメモを見せられたが、内容が理解不能であったため、そのまま本人に返した」と答弁。「この重要な事実が、外務省報告に記載されていないのはなぜか」との小泉議員の追及に、川口外相は「総領事館敷地内への立ち入りと連行に際しての（日本側の）同意の有無という基本的な事実関係を中心に記述したものであり、言及しなかった」としました。
中国側警察官が査証待合室にまで立ち入り二人の男性を連行した際の領事館員の対応について、小泉議員は「男性二人が座っている間や、査証待合室から玄関までの約三十メートルの間、連行されていく後を追ったにもかかわらず、副領事は一言も抗議の声を発しなかったのか」と追及。川口外相は「連行された際には、現場にいた副領事から抗議をおこなう時間的余裕はなかった」と、これまでの見解を繰り返しました。
