2002年5月17日(金)「しんぶん赤旗」
政府は十六日夕の安全保障会議で、テロ対策特別措置法(報復戦争参加法)にもとづいて海上自衛隊がインド洋上で実施している米軍への軍事支援の期間を半年延長することを決めました。十七日の閣議で正式決定します。
延長措置は、「テロ根絶」を口実にしながら、問題の解決にならない米国の報復戦争への協力を継続するだけでなく、イラクに対する軍事攻撃に協力する危険をはらんだものです。
テロ特措法に基づく基本計画は、(1)活動の実施地域(2)派遣部隊の規模・構成(3)派遣期間――などを定めており、今回はこのうち今年五月十九日までとされている派遣期間を十一月十九日までに変更します。
十日に防衛庁内で開かれた日米調整委員会で米側は、「アフガンでの戦いはまだ終わっていない。各国による支援が継続するのを望んでいる」として、派遣期間の延長を要求。アフガニスタンでの米軍の作戦規模が縮小し、自衛隊の「支援」の必要性が薄れているにもかかわらず、日本側は「日本だけが戦列を離れるわけにはいかない」(防衛庁幹部)として延長に応じました。
米国は対テロ戦争をアフガニスタン以外に広げることを公言。現在は「大量破壊兵器を使って平和を脅かすテロ支援国家」だとして、イラクに対する軍事力行使をほのめかしています。
派遣期間延長で、米軍のイラク攻撃に自衛隊が「協力」する可能性も出てきます。政府は国会で、イラク攻撃の場合「計画を変更する」(中谷元・防衛庁長官)と答弁。十六日午後に開かれた与党三党の緊急テロ対策本部では「今後のことは与党と十分協議した上で決める」(大森敬治官房副長官補)と「協力」の可能性を示唆しています。