2002年5月18日(土)「しんぶん赤旗」
駅のロータリーを取り囲むように二重、三重にできる人の列。東京・大田区のJR蒲田駅前で十六日夕におこなわれた「有事法制を許さないピーストークin蒲田」には、五百人を超える参加者がつめかけました。「そうだ」のかけ声や指笛がとび、通勤客も「なんの問題ですか」と立ち止まります。「新ガイドラインに反対する大田連絡会」が主催したものです。
東京湾に面し、羽田空港をかかえる同区でのピーストークには、航空、港湾で働く労働者もかけつけ、教職員、弁護士、地方公務員、女性団体代表らが次々とマイクを握り、訴えました。
「港から戦場へむけ、軍需物資や武器・弾薬を運びだせば、港湾は敵の攻撃の対象にもなるし、港湾労働者は戦争協力をすることにもなる。われわれは被害者にも加害者にもならない」(全国港湾労組協議会の玉田雅也事務局次長)
「民間航空はそもそも軍事利用してはならないと航空法で決まっている。この法を守ることと有事法制反対とは一体のもの」(航空労組連絡会の諏訪幸雄事務局長)
「区役所職員は憲法尊重を誓約している。私たちは現代版赤紙(公用令書)を届けない」(大田区職労の西蔦和徳副委員長)
「ラブ、アンド、ピース」と元気いっぱいにトークしたのは、通信制高校で学ぶ星川正弘さん(20)。「私たちの世代は、戦争体験を聞ける最後の世代。有事法制がだされているいま、戦争の本当の怖さ、真実を知り、次の世代に語り継いでいきたいです」と訴えます。
日本共産党の山口富男衆院議員は、国会論戦のなかで浮き彫りになってきた有事法制の危険な中身について訴えました。
ビラを見てピーストークのことを知ったという大久保有也さん(23)=フリーター=は、「地域でこれだけの人が集まって、すごいと思う。全国各地でこんな光景が当たり前になってほしい」と顔を輝かせます。「こんな重要な法律を国民がよくわからないままに通すということは絶対許されないと思う」と語ります。
ピーストークを主催した「新ガイドラインに反対する大田連絡会」は、大田区労協、大田区労連、民主商工会、日本共産党大田地区委員会などが参加しています。有事法案国会提出の動きがでてきた二月以来、反対の運動を強めようと、月に二回のペースで街頭宣伝や学習会にとりくんできました。
三月には、駅頭でのロングラン宣伝をおこない、四月の「春闘祭り」では、「小泉さんにメールを送ろう」という有事法制反対のコーナーをつくりました。メーデーの日も「会場での飲酒をがまんして」、午後から駅頭宣伝をおこないました。事務局のメンバーは、各労組や団体に有事法制反対の要請をくりひろげてきました。これらのとりくみを通じ、「私たちも有事法制の問題でなにかしなければ」の声がひろがりました。
連絡会の宮原清和事務局長はいいます。「今回の『ピーストーク』も短い期間のとりくみだったんですが、五百人を超える人が参加してくれた。有事法制の危険な中身を知れば、急速に運動はすすみ、世論も変わっていくんだと実感しました」
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このピーストークで、有事法制の危険性を知らせる日本共産党のマンガパンフ二十二冊が売れ、青年六人が「もっと政治のことを知りたい」と「日本共産党といっしょに日本をかえるネットワーク」に入りました。