2002年5月19日(日)「しんぶん赤旗」
自民、公明、保守の与党三党は、有事法制三法案、医療改悪法案など重要法案の「会期内成立」(三党首合意)をごり押しするかまえをみせています。六月十九日の会期末まで土、日を除くと残り二十三日となる中、採決の強行論とともに、会期延長説も流れ始めました。週明け国会は、与野党の激しい攻防が予想され、緊迫した局面になっています。
「武力攻撃事態法案」など有事法制三法案の審議日程で決まっているのは、二十日の衆院有事法制特別委員会での一般質疑だけです。与党側は「五月中の衆院通過をめざす」(与党国対幹部)とし、二十七日公聴会、二十八日委員会採決、三十日衆院通過という日程を念頭に、出口を決める動きをみせています。
十六日の特別委理事会では、与党側が突然、公聴会日程を決めたい、と主張。野党の強い反対でいったんあきらめましたが、その後も「できれば二十日にも特別委で議決したい」(自民党の久間章生筆頭理事=元防衛庁長官)と、早期の設定を探る動きを強めています。
しかし、特別委で行われた審議日数はまだ四日。このわずかな審議でも、日本共産党の追及で、海外での自衛隊の武力行使に道を開き、国民の自由と権利を奪う法案の危険な内容が浮き彫りになっています。
野党側は十六日の理事会の席で、公聴会の設定を「提起する時期ではない」と強く反対し、慎重な審議を求めています。
サラリーマン本人の医療費三割負担など空前の国民負担増を押しつける医療改悪法案は二十二、二十四の両日、衆院厚生労働委員会で一般質疑を行うことが決まっています。与党は質疑を行わず、野党のみとなります。
「二十四日まで審議すればほぼ論点が出尽くすので、そろそろ参考人招致の日程も考えてほしい」――。これまで厚生労働委で行われた審議の日数はわずか三日。それにもかかわらず、理事会では、自民党理事から残りの審議日数を逆算し、採決も意識したあからさまな発言が飛び出しています。
野党側は、法案を廃案に追い込むことで一致。BSE(狂牛病)の四頭目の発生が確認されるなど重大な問題も起きており、農水委員会との合同審査開催も主張しています。
報道・表現の自由を脅かす個人情報保護法案は十七日、衆院内閣委員会で審議が始まりました。週明けの審議日程は決まっておらず、二十一日の理事懇談会で協議される予定です。 マスコミや言論界などから強い反対の声が上がっていることから、小泉純一郎首相は内閣委での審議入りに先だち、法案の修正を指示したと報じられました。
野党側は「委員会審議に入る前から『修正』に言及し始めたのは、みずから法案の欠陥を認めるものだ」と批判。一致して法案撤回を求めていくことを確認しています。
小泉首相が「構造改革の本丸」と位置づけているのが、郵便事業への民間参入を認める信書便法案など、郵政関連四法案です。与党三党は衆院議院運営委員会で、二十一日の本会議で趣旨説明と質疑を行うよう提案しています。
自民党の郵政族は、法案に“抵抗”してきましたが、衆院解散など政局が混乱しないよう、今国会での衆院通過は認め、小泉首相との妥協を模索する動きが出ています。
首相は「衆院通過だけでなく成立させる。継続審議は全く考えていない」(十七日)と強調しています。
鈴木宗男衆院議員の公設秘書や側近外務官僚の逮捕に発展した一連の疑惑や、中国・瀋陽総領事館事件も、引き続き、週明け国会の大きな焦点です。
二十二日に衆院予算委員会で、小泉首相出席のもと、「外務省問題」をテーマにした集中審議が行われます。
参院では、前政策秘書が逮捕され、議員を辞職した井上裕前参院議長の疑惑解明も重要な課題です。
与野党間では、各派代表者会議への井上氏の招致、「政治とカネ」の問題や瀋陽総領事館事件などを、予算委員会で集中審議することを決めています。
4月26日衆院本会議で審議入り。有事法制特別委員会で5月7、8、9、16日の4日間で計26時間審議。20日に6時間の質疑を予定
4月19日衆院本会議で審議入り。厚生労働委員会で4月26日、5月8日、17日に計12時間審議。22、24日に6時間ずつの質疑を予定
4月25日に衆院本会議で審議入り。内閣委員会で17日に3時間20分の審議
与党が21日衆院本会議での審議入りを提案