2002年5月19日(日)「しんぶん赤旗」
文部科学省は、学校の校舎など公共施設の耐震化や改修を進めるため、二〇〇三年度予算概算要求基準に、五千億円規模の「公共施設等耐震化推進特別枠」(仮称)を設けるよう、経済財政諮問会議などに求める方針を十八日までに決めました。要望総額は他省庁分も含め一兆円程度になる見通し。
文科省によると、新しい耐震設計基準が制定された一九八一年より前に建てられた学校施設は、十万五千四百棟。同省はこのうち約七万棟(全国の学校施設の約43%)に耐震性がないと推計しています。八一年以前の建物は耐震診断の上、改築や補強工事が必要とされますが、地方自治体では改修が必要と分かればさらに負担が掛かるため、診断が進んでいません。
日本共産党の藤木洋子衆院議員、大沢辰美参院議員は、昨年三月に国会でこの問題をとりあげましたが、文科省は、整備を必要としている学校が何校あるかも把握していませんでした。
藤木議員らは「整備の必要な学校数すら把握せずに、整備がすすむはずがない。放置すべきではない」と、自治体任せにしている国の姿勢を批判し、早急な取り組みを要求。伊吹文明防災担当相(当時)は「文部科学相と相談したい」と答えていました。文科省は今月はじめに、都道府県教育委員会にたいし、計画的に耐震診断を行い、補強・改築が必要な事業量を把握するよう求める通知を出していました。