日本共産党

2002年5月21日(火)「しんぶん赤旗」

「予測」「おそれ」段階で武力行使

“先制攻撃につながる危険”

木島議員追及


 二十日の衆院有事法制特別委員会で日本共産党の木島日出夫議員は、「武力攻撃事態法案」で規定される自衛隊の行動について、法文上、武力攻撃が発生していない「おそれ」と「予測」の段階でも、自衛隊の武力行使=先制攻撃が可能だと解釈できる余地を残しているのではないかと追及しました。

 法案は、「武力攻撃事態」について「武力攻撃が発生した事態」「武力攻撃のおそれのある場合」「武力攻撃が予測されるに至った事態」と規定(第二条二号)。「武力攻撃事態」に対する「対処措置」として「武力攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使、部隊等の展開その他の行動」(同条六号イ(1))をあげています。

 木島氏は、ここでいう「武力攻撃を排除するために必要な」という概念に、武力攻撃の「おそれ」「予測」の事態が入るのかと追及。福田康夫官房長官は、「それには『予測』『おそれ』も入る」とのべ、その理由として後段の「部隊等の展開その他の行動」が、「予測」や「おそれ」段階の「準備行動」にあたることをあげました。

 しかし、「武力攻撃を排除するために必要な」という形容句は当然、前段の「自衛隊が実施する武力の行使」の文言にもかかっています。福田官房長官も五月八日の木島議員の質問に、「(前段も後段も)全部かかる」と答弁していました。

 木島氏は、「そうなると、『予測』『おそれ』の段階で『先制自衛』(の武力行使)ができることにつながる」と批判しました。

 福田官房長官は「武力の行使は憲法上認められる自衛権の発動三要件を満たしたときで、武力攻撃発生以前の『予測』や『おそれ』の段階で武力行使は実施されない」と答弁。津野修内閣法制局長官も「憲法の従来の解釈は当然の前提となっている」と述べました。

 木島氏は「そんなことは法文に書いていない」と強調し、これまで政府が勝手な憲法解釈を繰り返してきたことを指摘。「『武力攻撃を排除するために必要な』の概念に『おそれ』や『予測』を含むという答弁が出てきたら、政府は憲法解釈をいくらでも変える。そうなれば、武力行使は『先制自衛』(の場合)もできるということになる。そんな解釈の余地がある法律には断じて賛成できない」と批判しました。

 


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