日本共産党

2002年5月22日(水)「しんぶん赤旗」

論戦ピックアップ

郵政関連4法案

国民サービス、第3、4種減免守れ

衆院本会議・矢島恒夫議員質問


 日本共産党の矢島恒夫議員が二十一日の衆院本会議でおこなった郵政関連四法案にたいする質問と答弁(要旨)をあわせて紹介します。

民間事業者の全面的な参入

 矢島議員 今回の郵政四法案の焦点のひとつは、郵便事業への民間参入を認める信書便法案と、それに伴う郵便法の諸改正にある。信書便法案は、ポストの数などの一定の要件を満たせば、民間事業者が、はがきや封書の配達など郵便事業に全面的に参入することを可能とするものだ。信書便法案の第一条は、民間参入の目的について「利用者の選択の機会拡大を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする」とあるが、実際の目的は、ヤマト運輸を郵便事業へ参入させることではないか。

 小泉純一郎首相 法案は民間参入により、官と民が競い、国民へ多様なサービスの提供と、郵便事業の効率化をはかるものであり、特定の事業者の参入を念頭に置いたものではない。

 矢島議員 信書便法案が閣議決定された四月二十六日、ヤマト運輸の社長は「同法案のままでは参入する意思はない」と郵便事業への参入断念を表明した。これをうけて、小泉首相は、指針の見直しによって、ダイレクトメールの集配を民間に開放するよう総務省に指示したと報道されている。結局、もうかる分野を民間に開放するのが目的ではないか。

 首相 法案は、一般信書便民間事業者にダイレクトメールを含むすべての信書の取り扱いを可能とするものだ。

 矢島議員 低コストのもうかるダイレクトメールは民間に開放し、コストがかかる通常の郵便は郵政公社がおこなうということになれば、ダイレクトメールは安くなる半面、国民がポストに投かんする通常の郵便物は高くならざるをえないではないか。現行の第三種・第四種郵便割引制度は維持できるのか。

 首相 日本郵政公社が経営努力をはかることにより、サービス低下や料金値上げを避けつつ、学術研究や福祉の増進に寄与してきた第三種・第四種郵便物の料金減免制度も維持していける。

 矢島議員 日本郵政公社法施行法案は、これまで、点字図書や視覚障害者向け録音物を無料と規定していた郵便法第二六条第二項および第三項を削除するとしている。公社が設定する第三種・第四種郵便料金の認可基準は、同じ重さの第一種郵便、封書の料金より安ければよいということであり、そこまでの値上げを可能とする「改正」案となっている。第三種・第四種料金を維持するための財源対策が四法案のどこにあるのか。

公共の福祉の増進が欠落

 片山虎之助総務相 日本郵政公社がいっそうの経営努力をはらうことによって、サービスの低下や料金の値上げを招くことなく、第三種・第四種郵便物の料金減免制度は維持していける。

 矢島議員 日本郵政公社法案第一条は、日本郵政公社の目的を規定している。旧公社であった電電公社法には、明確に「公共の福祉を増進することを目的」とされていた。郵政公社の目的には、公共の福祉を増進することが欠落している。

 首相 郵便法、郵便貯金法、簡易生命保険法などの目的規定において、すでに規定されているため、規定しない。

 矢島議員 これまで、簡保事業は、簡易生命保険法第二条で、「この法律の規定により国が行う生命保険は、営利を目的としない事業であって」と規定されていたが、日本郵政公社法施行法案は、「営利を目的としない事業」という規定を削除している。

 首相 簡易生命保険を含む郵政事業は営利を目的としない事業であり、こうした規定のない郵便法等との平仄(ひょうそく=つじつまの意味)を合わせる観点から、規定を削除した。

 矢島議員 日本郵政公社法案では、簡保資金の運用からも、郵貯資金の運用からも、「公共の利益の確保にも配意しつつ行う」という規定を欠落させている。資金運用の基準は、リスクに見合ったリターンだけとなり、民間金融機関の運用と同じではないか。

 首相 資金運用については、企業貸し付けを行わない等、民間とは異なる仕組みとなっている。「公共の利益の確保にも配意しつつおこなう」との規定は、法律の構成上規定していないが、資金運用の枠組みや考え方は、公社化後も変わらない。

郵政民営化は大銀行支援策

 矢島議員 首相のめざす最終目的は、郵便貯金と簡易保険の民営化であり、郵政公社化および民間事業への民間参入は、その「本丸」の「外堀」を埋めることなのか。

 首相 郵便事業への民間参入は将来、郵政民営化にむけた一里塚だ。郵政三事業、財政投融資制度、特殊法人改革を本丸と見たてれば、今回の法案は外堀をうめる意味がある。

 矢島議員 大銀行が、国営の郵便貯金事業や簡保事業、郵便局が競争相手として存在しているともうけがあがらないから、民営化し、分割し、弱体化したいというのが、郵政民営化のねらいで、郵政民営化は大銀行支援策そのものではないか。

 首相 郵政公社化が大銀行支援策であるという批判はあたらない。

 矢島議員 国民生活にとって不可欠な通信・金融サービスを提供する郵政事業は、全国津々浦々に張り巡らされた郵便局とともに、国民生活に深く根付いている。郵政事業が、利潤を追求しない国営事業ならばこそ、こうした役割を果たしつつあるのではないか。

 首相 民間参入することによって、今まで考えてきた以上のいろいろなサービスが展開され、最終的には国民の利便が向上すると考えている。

 


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