2002年5月23日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の瀬古由起子議員は二十二日、衆院厚生労働委員会で、長期入院患者に負担増を強いる診療報酬改定の問題を取り上げました。
政府は今年四月の改定で、六カ月以上の長期入院患者について、医療保険から病院に支払う「入院基本料」を段階的に15%カットしました。患者は月五万円程度の負担増となります。「社会的入院の解消」を理由に、負担増を強いることで患者を退院に追い込むのが政府のねらいです。
瀬古氏は「社会的入院」として病院にいる患者は、家族の引き取りが困難で、施設は満員で入れないという現状があるとのべ、「病院から出された患者が安心して療養生活を送れる保障があると政府はいえるのか。実態調査もしないでこうしたしくみをつくるとは言語道断だ」と指摘しました。
坂口力厚労相は「この制度が完全に実施される(二〇〇四年度)までには(施設整備は)きちんとする」と言い訳しました。瀬古氏は、坂口厚労相の出身地である三重県の場合、特別養護老人ホームにはすでに三千九百人を超える待機者がいることを紹介、「政府の整備計画は二〇〇四年度までに全国でわずか四千床増で、三重県一県分でしかない。受け皿整備がすすむという保障がどこにあるのか」と指摘しました。
瀬古氏は「入院基本料という医療本体にまで保険外負担の範囲を拡大するものだ」と批判、「こんなやり方が許されれば、医療の基本部分が際限なく患者の自己負担となり、実質負担は(医療費の)四割、五割になる可能性がある」とのべ、ただちに診療報酬を再改定するよう求めました。