2002年5月23日(木)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の志位和夫委員長は二十二日、国会内での定例記者会見で、有事三法案の国会審議をめぐる現局面に対する立場について述べました。
志位氏は「わずかな審議を通じても、米軍の戦争のための自衛隊の武力の行使、国民の自由と人権の抑圧というたいへん深刻な問題点が噴き出している。そして、その問題点について、政府がまともな説明をしていないというのが、いまの到達点だ」と強調。与党単独で公聴会を設定した暴挙をきびしく批判し、「徹底的な問題点の究明を通じ、廃案を目指す」との立場を明らかにしました。
その上で、これまでの有事法制三法案の審議を通して「いくつかの重大な問題点がはっきり出てきた」と指摘しました。
第一は、自衛隊の海外での武力の行使がどこまで広がるか、地域的な歯止めがいっさいないことです。
志位氏は、「武力攻撃事態法案」が「我が国への武力攻撃」に対する「対処」を定めているが、政府が、この「我が国」の概念に公海上の自衛隊艦船なども入ると答弁していることを指摘。そうなると、「周辺事態法」や「テロ対策特措法」にもとづき海外で米軍を支援している自衛隊が、危険な状況に陥ったとすれば法律が発動されることになり、「アジアでも、インド洋でも、海外での武力行使が可能になる」と指摘しました。
第二は、海外での自衛隊の武力行使が、どんな場合に発動されるかの歯止めも法案にはないことです。
志位氏は、法案が武力攻撃の「おそれ」「予測」の事態でも自衛隊の武力行使ができる構造になっていること、政府もこの段階での武力の行使を禁止する根拠規定をいっさい示せないと指摘。
「おそれ」や「予測」の事態での武力の行使ということになると、相手の攻撃を受けていない段階での「武力行使と一体化」した自衛隊の米軍支援も可能になり、「集団的自衛権の行使に道を開くものとなっているのではないか、という重大な問題点がある」と述べました。
第三は、海外での自衛隊の米軍支援がどこまでできるのかについても、なんら明らかにされていないことです。
志位氏は、法案で二年以内に整備するとしている米軍支援法の内容はまったく明らかにされていないと指摘。「周辺事態法」による米軍支援が、「武力攻撃事態法」によってどう変わるのか、この重大問題についても明らかにされていないと述べました。
第四は、国民の権利と自由の制限がどの範囲まで及ぶのか歯止めがないこと、自治体への「指示」「直接執行」という権限が明記されているが、自治体がいかなる責務を負わされるのか明らかでないこと、「指定公共機関」についても、どんな団体が指定され、どんな責務を負うのかいまだ明確にされていないことを指摘しました。
志位氏は「これだけの重大問題が解明されないまま、公聴会という採決の前提となる日程だけを一方的に決め、問題点にすべてフタをしたまま、問答無用で一気かせいに強行してしまうやり方は、絶対に許されるものではない」と批判しました。