2002年5月27日(月)「しんぶん赤旗」
日本共産党の筆坂秀世政策委員長は二十六日放送のNHK「日曜討論」に出演し、中国・瀋陽総領事館事件、有事三法案について、各党の政策責任者と討論しました。
瀋陽総領事館事件について筆坂氏は「事実関係をきちんと究明することが必要だ」とのべました。総領事館の不可侵権の問題も「中国側の対応に同意を与えていたなら、前提が崩れる」と指摘。外務省の調査報告でも事件発生から一時間の間、中国側に一度も抗議しておらず、亡命の意思を伝える手紙をつきかえしたことで事実上、連行を容認する態度をとったことになり、「真相をきちんと見極めることが大前提だ」と強調しました。
日本の難民政策について筆坂氏は二つの角度から考える必要があるとのべました。第一に、難民の認定について国連難民高等弁務官(UNHCR)事務所の『難民白書』も“日本の審査は並みはずれて高水準の評価が必要になっている”と、審査のきびしさを指摘しており、「少なくともこれを国際水準にすることが必要だ」と主張。第二に、「政治難民」と「経済難民」だけでなく、「戦争難民」など新しい事態も国際的には生まれており、「これらは日本一国だけで対応できる問題ではなく、UNHCRなどと国際的な協議を進めていく必要がある」とのべました。
事件の再発防止策について、「真相をきちんと解明しないと防止策は立たない」と指摘。外務省報告に阿南惟茂駐中国大使の言動が出てこないことを示し、「外務省がこの『事なかれ主義』・隠ぺい体質を改めることが、再発防止の大前提になる」と強調しました。
「武力攻撃事態法案」など有事三法案について筆坂氏は、「『武力攻撃事態』が『おそれ』、『予測』を含むというあいまいさが、この法案の最大の特徴だ」と批判しました。
「おそれ」と「予測」の事態が「周辺事態」と重なる結果、「周辺事態法」では撤退するとされた事態でも、「武力攻撃事態法」が適用されれば「逃げずにそこでたたかう。つまり武力行使に道を開くことになる」と指摘。「『日本有事』(日本本土への直接攻撃)がなくても法律が動き出し、国民の強制動員、陣地の構築などができるよう、あいまいにしている」と強調しました。
「武力攻撃事態」は「わが国が攻撃を受ける事態」とする与党側にたいし筆坂氏は、海外に出ている自衛隊艦船も「わが国」になり、武力攻撃やそのおそれがある、予測されるということになれば「武力攻撃事態法」が発動されると批判。「『周辺事態法』では、戦闘中の米軍支援は集団的自衛権の行使(で不可能)だと言っていたのが、同じ米軍への支援が『武力攻撃事態法』では個別的自衛権だという。こんな詐術的なやり方で武力行使に道を開くのがこの法律の一番の問題だ」とのべました。
今後の国会審議をめぐって、自民党の久間章生政調会長代理が「公聴会後も十分審議する」と発言。筆坂氏は、久間氏が公聴会日程強行の際、「月内に衆議院を通過させないと間に合わない」とのべていたことを紹介、「会期内に何が何でも間に合わせるために強行するというやり方はまずい」と批判しました。
筆坂氏は「今国会の焦点の一つは“政治とカネ”の問題だ」として、野党四党が提出しているあっせん利得処罰法改正案、公共事業受注企業からの献金禁止法案について、「与野党が一致できるものであり、ただちに成立させ、会期どおりに国会は終わらせるべきだ」と主張しました。他の野党もそろって「会期延長は必要ない」と発言しました。