2002年5月28日(火)「しんぶん赤旗」
安倍晋三官房副長官は二十七日の参院予算委員会で、週刊誌が報じた“核兵器の使用は違憲ではない”とする発言について、「政府の従来からの解釈を紹介したものだ」とのべて、認めました。
この発言は、先週発売の「サンデー毎日」(六月二日号)が報じたもので、同氏が十三日に東京・早稲田大学での講演で、「戦術核を使うと言うことは昭和35年(1960年)の岸(信介=故人)総理答弁で『違憲ではない』という答弁がされています。それは違憲ではないのですが、日本人はちょっとそこを誤解しているんです」とのべたというものです。
安倍氏はこの日の答弁で、「自衛のための必要最小限度を超えない限り、核兵器であると、通常兵器であるとを問わず、これを保有することは、憲法の禁ずるところではない」という核兵器保有についての政府の統一見解(七八年三月)を示した上で、「核兵器は用いることができる、できないという解釈は憲法の解釈としては適当ではない」とのべました。
安倍氏は一方で「憲法論と政策論とは別だ」と主張し、憲法上、核兵器使用は認められるが、「非核三原則」という政策があるのでできないとの考えを示しました。現憲法下でも、政府の政策判断しだいで、被爆国である日本が核兵器の保有・使用に踏みこめると主張したものです。
核兵器の使用と憲法九条との関係については、九八年六月に大森政輔内閣法制局長官(当時)が「核兵器の使用も、わが国を防衛するための必要最小限にとどまるならば、可能ということに論理的になろうかと考える」と答弁、被爆者をはじめとする国民の批判をあびました。