2002年5月28日(火)「しんぶん赤旗」
連合は、有事法制について憲法の枠内での法整備の必要性を認めながらも、審議中の有事関連三法案にたいし、「今国会で急いで成立させることは反対」との見解を表明し、成立を「断固阻止」する立場を打ち出しました。二十九、三十一の両日には、国会前座り込み行動を予定しています。
連合は、結成後十二年間、「(組織内で)意見の一致しないものについては最終的にとりあげない」というスタンスをとってきました。
今回の有事関連法案は、まさに「意見の一致しないもの」でした。「日本が戦争できる体制ができあがってしまう。断じて反対」との一方で、「平時においてこそ議論をすることが必要」など、組織内の意見には大きな隔たりがありました。最終確認の場となった十六日の中央執行委員会でも、終了時間が一時間以上延長され、「両論にわたっての意見」が交わされ続けたほどです。
笹森清会長は、会見で「ギリギリまとめた文章」だから、見解は「ことばのトーンとして若干弱すぎる部分あるいは誤解されやすい部分」があるが、連合メーデーであいさつした「『(同法案には)反対である。成立には断固阻止する』ということでの理解をもらった」と強調しました。
意見がまとまらなかったもう一点は、見解が「憲法の枠内での法整備(有事法制)は基本的には必要」とした点で、「憲法の枠内」の文言を取るか、残すかをめぐってでした。「戦争行為を自らが自発で行っていくんだということについては、させないし、そんなことはいけない」(笹森氏)との共通認識を確認し、「憲法の枠内」を明記したとしています。
連合は、軍需産業に労働組合を組織している一方で、法案に「必要な措置を実施する責務を有する」とされる指定公共機関や公益業務に従事する海員組合やJR、NTT、NHKなどの組合員を多く抱えています。
最終的には、「ギリギリ議論したうえで」一致点を積み重ねて、笹森会長と草野忠義事務局長のイニシアチブで確認されたといえる今回の見解。有事関連三法案は、「国民の自由と権利がどこまで保障されるのかまったく不明」であり、「構成組織の組合員の生命、身体、生活に極めて重大な影響を与え」(見解)るものだけに、異例の決断に至ったといえます。
連合加盟の組合では、「ストップ有事法制5・24大集会」のよびかけ団体に海員組合が参加しているほか、日教組は「有事法制化や憲法の改悪を許さぬたたかいの中核をなす」(教育研究全国集会、榊原長一委員長)、国公総連も「憲法前文及び九条の改正と有事法制の制定に反対」(〇二春闘方針)と打ち出しています。私鉄総連は「有事関連三法案に反対するとともに、平和憲法を擁護するため先頭にたってたたかう」(十七日、中央執行委員会アピール)と表明、自治労は、廃案にむけ各地で運動を広げることを重視して集会、学習会、意見広告、意見書要請などにとりくむとしています。