2002年5月29日(水)「しんぶん赤旗」
「県民の生活物資の輸送ができなくなるのでは、と心配です」。沖縄県トラック協会の安富俊則専務理事は、政府が今国会で強行成立をもくろむ有事法案にたいし、県内のトラック業界の不安を話します。
有事法案(武力攻撃事態法案)で、予想されるのが、アメリカがアジアなど世界でおこす戦争への協力。日本が攻められてもいないのに戦時体制がしかれ、国、自治体、民間まで罰則つきで「協力」が強要される戦争法案です。
同関連法(自衛隊法)は、自衛隊や米軍物資の輸送は、民間業者が実施するよう「従事命令書」をだして協力を義務付けています。
ここに一つのデータがあります。「沖縄の海兵隊キャンプ及び岩国基地で多くの車両を要求」。一九九四年の北朝鮮の「核危機」をめぐってアメリカが軍事制裁を準備した際、日本に千五十九項目を要求したその一部。そこにはトラック・トレーラー千三百七十台とあります。
米軍は沖縄の海兵隊分として、コンテナ輸送・八百六十五台、軍事輸送管理軍・大型トラック九十六台をあげており、これだけでも千台近い要求になります。
沖縄総合事務局陸運事務所によれば、県内の営業用大型トラック・トレーラーは五千四百四十二台。実に米軍はこの二割近くを調達しようというのです。
安富専務理事は、「そんなことになったら沖縄県民の生活物資はどうやって運ぶのか。鉄道のない沖縄にとってトラック輸送はひとときも休めない」と深刻な表情。「有事法案は国民の納得が必要です」とつけくわえました。