2002年5月29日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 この三月に成立した「都市再生」関連法は、どんな内容なのですか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 政府が「都市再生」プロジェクトを進めるための体制づくりや規制緩和を行うため国会に提出した、都市再生特別措置法と、関連する都市再開発法などの「改正」は、三月二十九日、与党と民主党などの賛成多数で成立しました。日本共産党、社民党は反対しました。
今回新たにつくられた都市再生特別措置法は、首相を本部長とする都市再生本部が「都市再生緊急整備地域」を指定し、その中に「都市再生特別地区」を設定するしくみです。「特別地区」に指定されると、用途規制や容積率、高さ制限、日影規制など、従来の都市計画で設けた規制がとりはらわれ、超高層ビルを密集して建てるなどの都市計画が可能になります。
また「緊急整備地域」内の開発業者に、都市計画の決定や変更を提案できる権限を与えています。いまでも阪神・淡路大震災であったように、行政の一方的な区画整理決定などで不利益を強いられる住民が多くいますが、営利の民間計画に「公共」のお墨付きを与え、住民にかえ地などを強要すれば、事実上の民間「土地収用」となります。
しかも業者の提案をうけた自治体などは六カ月以内の計画決定などを求められ、事業に必要な認可などは、関係行政に三カ月以内に決定させます。土地買い占めをすすめる業者の、利子などのリスク軽減のためで、住民合意がなおざりとなります。
このような開発事業に民間都市開発推進機構を通じた金融支援も行われます。バブル破たんで棚ざらしの開発計画のテコ入れなどがねらいで、乱開発による住環境悪化や住民追い出しにつながりかねません。
関連する都市再開発法や、いわゆる民活法、建築基準法などの「改正」では、容積率の緩和、土地の高度利用のための措置、廃棄物溶融施設などに対する支援措置などが盛り込まれています。
(博)〔2002・5・29(水)〕