2002年5月31日(金)「しんぶん赤旗」
|
一万人余が感染したとされる旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)のフィブリノゲン製剤による薬害C型肝炎問題で、一九七三年に当時の厚生省が同製剤からの肝炎感染の危険性を認識し、代替治療法までわかっていながら、販売を中止させず、被害を拡大してきたことが三十日、日本共産党の小池晃参院議員の調査で明らかになりました。
これは、当時の厚生省監修の文献に明記されていたもの。七七年に米国が承認を取り消したときより四年も前でした。
小池議員は調査にもとづき、同日開かれた厚生労働委員会で追及。坂口力厚労相は厚生省が危険性を「当然知っていたと思う」と答え、七〇年代前半からの調査の必要性を認めました。
小池議員は質問のなかで、七三年に厚生省薬務局が監修した『生物学的製剤基準解説』を示し、世界保健機関(WHO)の報告として全血輸血が1%以内の感染頻度であるのと比較し、同製剤は7%と高いことを記述していることを指摘しました。
『解説』は、千〜二万人の血しょうをプールしてつくるフィブリノゲン製剤よりも数人の血しょうからつくるクリオ製剤の方が危険が少ないというイギリス薬局方(BPC)の見解を載せ、より安全な代替の治療法についても紹介しています。
小池議員は、厚生省が七〇年代の早い時期から肝炎感染の危険を認識しながら、クリオ製剤への代替治療などの安全策を取らずに販売を継続させ被害を拡大させたと同省の責任を厳しく追及し、現在行われている七七年当時の調査をさかのぼって調査するよう要求しました。
小池議員は、真相解明のための集中審議と旧ミドリ十字の松下廉蔵元社長、七四年当時の細菌製剤課長らの参考人招致を求めました。
感染者二百万人ともいわれるC型肝炎。日本共産党の小池晃参院議員は三十日、参院厚生労働委員会で「C型肝炎は、輸血、血液製剤の投与、集団予防接種などで感染が広がった」と国の責任を指摘。検査、治療、生活支援など、当面の対策を提案しました。
患者会の調査で治療費が年間三十万円から三十五万円もかかる実態を紹介し、経済的な支援策を求めました。肝硬変などを高額療養費制度の「特定疾病」として認定し、月一万円以上の窓口負担分については保険でまかなうことを提案。
治療法の改善として、(1)慢性肝炎しか認められていないインターフェロンを肝硬変にまで適用する(2)肝がんのラジオ波焼しゃく療法を保険適用にする(3)欧米で主流となっており効果の高いペグインターフェロンの承認を急ぐことを提案しました。
そして、今年度から老人保健の健康診査で肝炎ウイルス検査を実施することになったものの、実施のめどがたっていない自治体が約三割(節目外検診)あり、全市区町村で実施することを求めました。
坂口厚生労働大臣は「一生懸命やりたい」と答弁しました。