日本共産党

2002年5月31日(金)「しんぶん赤旗」

岩手で広がる連帯

有事法制阻止へ 全労連、連合の労組


 「アメリカの戦争に国民を総動員する有事法制をなんとしても阻止しよう」。岩手県では、全労連加盟と連合加盟の組織の違いを超えて労働組合や団体、政党が共同し、運動をくりひろげています。(名越正治記者)

実行委員会つくって「市民集会」成功

北上市

 北東北の十字路とよばれ、工業や流通業が集積する北上市。市役所前広場に全労連、連合、全労協と書かれた赤、緑、青の組合旗やのぼりが林立しました。十七日に開いた「ストップ! 有事法制 市民集会」。日本共産党や社民党、北上労連、郡労センターなど十八団体でつくる「ストップ! 有事法制 北上市民の会」がよびかけ、参加した約二百六十人の労働者や市民が集会後、市内をデモ行進しました。

 北上市では、昨年九月の同時多発テロやアメリカの報復戦争に自衛隊を派遣する動きが強まるなか、共産、社民両党とともに労組など十八団体・個人が実行委員会をつくり、「テロ根絶、報復戦争反対、平和を願う市民集会」を成功させました。北上市の集会が、その後二戸市や水沢市などで開かれた統一集会の契機になった、といいます。

 北上市職労特別執行委員の佐藤ケイ子さん(社民党市議)は「私たちが実施しているキャラバンで、自治体首長も『有事法制より経済や雇用、BSE(狂牛病)など切実な問題こそ優先してほしい』といっています」と、共同を広げる大切さを語ります。

 「市民の会」の代表委員を引き受けた北上教会牧師、小林功さん(58)は「戦後ずっと戦争がない状態ですごしてきて、平和は空気のような存在です。それを切り裂くのが有事法制です。戦争ができる国にしていこうという危険な動きを許してはならないとみなさん一生懸命で、私も励まされています。一人の牧師として、人間として、だまっていられません」。

 平和を願う市民の声を背景に、三月市議会で「(有事法制が)地方自治体および住民の基本的権利に抵触し、自治体職員や民間人の企業活動に深く関わらざるを得ない…他の法案にもまして、冷静かつ慎重な審議を求める」との意見書を全会一致で採択しました。

「廃案まで続ける」昼デモ、駅前宣伝

県南部

 県南部の一関市では、「廃案に追い込むまで続けよう」と連日、昼デモを実施。水沢、江刺両市や胆沢町の労組や民主団体でつくる「国民大運動胆江地区実行委」も「いま立ちあがるときだ」と連日、宣伝カーを出し、昼休みデモや毎日曜日に駅前で宣伝しています。

 いわて労連や革新懇、医労連、新婦人、日本共産党など十五団体でつくる「有事法制反対県連絡会」は、週二回、盛岡市の繁華街で昼休み宣伝を実施しています。「自衛隊の海外での武力行使、国民を戦争に強制動員する有事法案を県民の力で廃案にしましょう」と訴えると、市民が足を止め、応じます。二十代の青年二人は「戦争は絶対にいやだ」「いっしょにたたかいましょう」といい、そろって署名しました。

 「県連絡会」は、自治体首長への申し入れをすすめています。大槌町の山崎三雄町長は「国民が十分に理解もしていないのに、国会でバタバタと決めるべきでない」と回答。別の町助役は「有事法制は国民に対する『踏み絵』のようなもので好ましくない」と批判。また、別の町でも応対した助役が、同席した日本共産党議員に「終戦前、米軍の飛行機が飛んできた。戦争は怖い。有事法制については『赤旗』がよく報道している」と共感を寄せました。

500人が商店街デモ

盛岡市

 県都の盛岡市でも十七日、約五百人の隊列が「国民を戦争に巻き込む有事法制はイヤです!」の横断幕を掲げ、商店街をデモ行進しました。県医労連、県教組、県高教組、自治労連、自治労、県生協連など十一団体で構成する「平和憲法を守る県民懇談会」の「有事法制に反対する5・17県民ミニ集会・デモ」です。

 各団体が「通学路が軍事輸送で閉鎖されるのでは。危機感を覚える」(県教組)、「署名をさらに広げる」(自治労連)、「キャラバン行動を続けていく」(自治労)と一分間スピーチ。

 いわて労連の村上和雄議長は、「共同の風が各地で吹き、アメリカの戦争のために自由や人権が奪われるのはごめんだという声が急速に高まってきました」と、話しています。

 


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