2002年6月1日(土)「しんぶん赤旗」
政府首脳は三十一日夜、核兵器の保持などを禁ずる「非核三原則」について「憲法に近い(位置付けの)ものだったが、憲法も変えようという時代だ。国際情勢が変化したり国民世論が核を持つべきだとなれば、変わることもあるかもしれない」と述べ、見直すこともあり得るとの見方を示しました。
これに関連して福田康夫官房長官は同日午後の記者会見で、小型原子爆弾などの保有について「法理論的には持てる。持っていけないとの理屈にはならない」と述べました。
日本の核政策をめぐっては、安倍晋三官房副長官が先に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の保持について「憲法上問題はない」との見解を示し、波紋を広げました。福田長官は会見で、この問題に答える中で核保有などに言及しました。
非核三原則は、核兵器を「つくらず、持たず、持ち込ませず」というわが国の基本的政策。一九六七年十二月に佐藤栄作首相(当時)が、沖縄返還問題をめぐる「核兵器持ち込み反対」の世論におされて、国会答弁で打ち出したもの。沖縄返還の際に衆院本会議で決議され、以来「国是」とされています。
■発言の要旨
政府首脳と福田康夫官房長官が三十一日、非核三原則などに関して行った発言の要旨はそれぞれ次の通り。
【政府首脳】非核三原則は今までは憲法に近いものだった。しかし、憲法も変えようという時代だから、国際情勢が変化したり世論が核を持つべきだとなれば、変わることだってあるかもしれない。
【官房長官】自衛のための手段として許される範囲で考えていくべきだ。だから長距離ミサイルや原子爆弾も持っていない。非核三原則ということもある。理屈から言えば持てると思うが、政治論としてそれはない。
法理論的に言えば、持ってはいけないという理屈にはならないが、政治論としてこれはしない政策選択をしている。憲法上、法理論的に持ってはいけないとは書いていないと思う。持ってもいい。しかし、使ってはいけない。それをもっと積極的に、政策判断として持つのをやめようというのが非核三原則だ。大陸間弾道ミサイル(ICBM)、航空母艦は自衛を超える武器、兵器と見られるから持ってはいけない。
政府首脳の非核三原則見直し発言について、日本共産党の市田忠義書記局長は同日夜、次のようにコメントしました。
「いま世界では、期限を切った核兵器廃絶ということが大きな流れになっている。そのときに、世界で唯一の被爆国の政府首脳が、核兵器を肯定し、憲法上保有が可能だなどということは、断じて許されることではない。核兵器廃絶という世界の流れに逆行する大問題であり、週明けの国会でも日本政府の根本姿勢にかかわる問題として追及していきたい」