2002年6月2日(日)「しんぶん赤旗」
「有事法制を考える」緊急フォーラムが一日、東京・早稲田大学で開かれ、高校生を含む学生や市民約六百人が集まり、活発な議論を交わしました。
全国憲法研究会の憲法問題特別委員会が開いたもので、特別委員会委員長の芹澤齊・青山学院大学教授は「学会がこうしたことを行うのはよほどのこと。専門家集団が、よほどのことだと認識しているとお考えください」とあいさつしました。
このなかでパネリストの早稲田大学の水島朝穂教授は、「有事」の際に戦争協力が責務となる「指定公共機関」は内閣の判断で政令で決められるため、農業団体のJAが指定されるのではないかと農家が関心を持ち始めていることを紹介。民放の経営者を含め「いろいろな人の不安を呼び起こしている」とのべました。
古関彰一獨協大学教授は、これまでは脅威でなかったもの―南北格差の拡大や食糧不足、地球的規模の環境破壊などの脅威から、一人ひとりの自由と安全をどう守るかが、いま解決しないといけない安全保障であり、これは軍事力では解決できないと指摘しました。
質疑では、「アメリカの対テロ戦争に日本が参戦しようとしている、その中で有事法制が出てきているのではないか」「日本本土ということだった『わが国』の概念が、海外の自衛艦も含むなど、従来と同じ形式をとりながら内容が変わってきている」などの意見や質問が次々と出ました。