2002年6月4日(火)「しんぶん赤旗」
原水爆禁止日本協議会(日本原水協)は三日、内閣府に対し、「非核三原則」を否定し、「法理論上は核兵器を持つことができる」とのべた福田康夫官房長官の発言の撤回と罷免を求めました。
赤松宏一代表理事が、小泉純一郎首相あて要求書を読み上げ、参加者が「唯一の被爆国政府として、核廃絶に努力するのが本来のあり方なのに、『非核三原則』を否定するとはもってのほか」など強く抗議しました。
全労連の沢中正也政治・国民運動局長は、福田官房長官の即刻罷免を求めるとともに、小泉首相が「(福田発言は)どうってことない」と発言したことにたいし、「何たる無神経さだ。腹立たしい限りだ」と抗議しました。
杉並原水協の原田暁理事(26)は、原水爆禁止運動をいち早く始めた杉並区の原水協として「福田官房長官の発言は絶対に許すことはできない。発言の撤回と罷免を」とのべました。
「有事法制は許さない! 運動推進連絡センター」が連日行っている議員要請行動で三日、衆院議員面会所に集まった約八十人が福田官房長官の「非核三原則」見直し発言にたいする怒りの声をあげました。
主催者を代表してあいさつした安保破棄中央実行委員会の佐藤光雄事務局長は、「私は原爆で身内を亡くした。防衛庁のリスト作成や非核三原則見直し発言が次々明らかになるなかでの有事法制の強行は、絶対に許されない。私たちの運動のスピードをあげ、なんとしても廃案に追い込もう」と訴えました。
岡山から駆けつけた、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会の吉田裕美さん(51)は、「戦争は障害者を生み出す最大のもの。戦争への道を開く有事法制を、黙って通すわけにはいきません」と力強くあいさつ。国会情勢報告に立った日本共産党の塩川鉄也衆院議員から、防衛庁のリスト作成が内局や陸・空幕でも行われていたことが知らされると、参加者から驚きの声が上がりました。
東京・杉並区の原田暁さん(26)は、「憲法九条と非核三原則はセットだと習った。三原則を否定するのは、九条も否定することと同じ。九条を変えたい政府だということがはっきりした。こういう政府に有事法制を作らせてはいけない」と語りました。
福田官房長官の「非核三原則」見直し発言に抗議し広島県原水協(大森正信筆頭代表理事)と同県被団協(金子一士理事長)などは三日、広島市の平和記念公園の原爆記念碑前で抗議の座り込みをしました。
強い日ざしが照りつけるなか行動には被爆者ら百人が参加。県原水協の永見繁樹代表理事は「国際的な核兵器廃絶の流れに逆行する発言」と批判、県平和委員会の泉忠直事務局長は「アメリカの核戦略に同調する日本政府の本音があらわれたもの」と指摘。有事法制阻止とあわせ、被爆地広島から平和の運動を大きくしていこうと呼びかけました。
県被団協被爆者相談所員の渡辺力人さん(75)は「広島市では現在、毎日六人の被爆者が死亡している。半世紀以上たっても人を殺し続ける悪魔の兵器=核兵器の容認発言には、満身の怒りを感じる」と話しました。福田官房長官の発言にたいして容認姿勢を示した小泉首相と、核弾頭の起爆に使用するプルトニウム・ピットの製造再開を発表した米大統領あてに抗議文を送付することを参加者の拍手で確認しました。
福田官房長官による「非核三原則」否定発言について、全労連の小林洋二議長は三日、抗議の談話を発表しました。
小林議長は、「許しがたい暴言だが、決して偶然ではなく、小泉内閣と自民党の本音」と指摘。核兵器の先制使用を含むアメリカの新しい核戦略と深く結びついているとのべています。
そして、憲法をじゅうりんし、世界の核兵器廃絶の流れに逆らうもの、「唯一の被爆国・日本の国民世論への真っ向からの挑戦」と批判。福田官房長官の辞任を要求し、「小泉内閣はいよいよ退陣するしかない」と強調しています。