2002年6月13日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 今年改正された障害者雇用促進法で、どんなことが変わったのですか?(京都・一読者)
〈答え〉 障害者雇用促進法は、一九六〇年に成立し、数次の改定がおこなわれています。この法律は、厚生労働省の省令で定めた一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇用する義務を事業主が負うことや、国・自治体が障害者の雇用を促進する施策を講ずることなどを定めています。
今回の法改正の大きな点は、これまで一部の業種で認めていた法定雇用率の軽減措置を、廃止にむけ段階的に縮小することです。例えば民間企業の法定雇用率は1・8%ですが、業種によってはあらかじめ一定の比率(除外率)を控除した、残りの労働者数に適用してきました。このような措置が縮小・廃止に向かうことは、障害者の雇用促進につながり得るものです。
一方、今回の法改正で失望が大きかったのは、精神障害者にも法定雇用率を適用することが見送られたことです。すでに知的障害者については、一九八七年と九七年の法改正で法定雇用率に組み入れられたことを契機に、施策などで一定の前進がみられています。ところが、うつ病など普通の人もかかる精神障害は、今回も今後の検討課題とされました。関係者からは「スタートラインにも立てない」との批判がでています。
実際、ドイツやフランスなどは、精神障害者も雇用促進の対象とし、障害者全体で労働者比4%前後の高い実雇用率を実現しています。雇用率に算定することで、働く障害者としての社会的な認知が広がり、働きながら治療を受け、社会復帰するための企業や国・自治体の支援策など、その後の対策が進むとの指摘もあります。
日本共産党は国会審議では、精神障害者も法定雇用率に組み入れるよう要求しました。同時に、法の定義などに初めて精神障害者が明記されるなどの前進面もあるため、改正案には賛成しました。
(水)〔2002・6・13(木)〕