2002年6月16日(日)「しんぶん赤旗」
防衛庁が個人情報リスト作成に関する約四十ページの調査報告書をまとめながら、自・公・保の与党三党幹事長の圧力で隠ぺいし、国会をあざむいた問題は、十九日の会期末を目前にした国会をさらに混乱させることになりました。政府と国会との正常な関係、国会審議の土台そのものを崩してしまったからです。
野党四党は、事実関係と責任の所在を明らかにするよう求めましたが、政府・与党は「隠ぺいの事実はない」(与党三党幹事長)と拒否。みずからつくった不正常な事態を放置したまま与党は十四日、衆院厚生労働委員会で医療改悪法案を単独で強行採決する暴挙に出ました。
「法案を成立させるため必要な会期をとってほしい」。小泉純一郎首相は同日、自民党の山崎拓幹事長に指示。十七日の与党三党首会談で会期延長幅を正式に決めようとしています。
しかし、会期延長で成立を狙う有事法案などの重大法案についても政府・閣僚は国会でまともに答弁できず、各種世論調査で法案反対が多数を占めています。
医療改悪法案の採決後、「司令塔がどこにあるのかわからない」(自民党・野中広務元幹事長、十四日の党総務会)とのなげきがでるほど、政府・与党は混迷を深めています。
野党は、医療改悪法案を衆院本会議に上程せず、委員会に差し戻すよう求めています。会期延長にも一致して反対。日本共産党はすべての悪法を廃案にすべきだと主張しています。
東京地検特捜部は、鈴木宗男衆院議員をあっせん収賄容疑で事情聴取する考えで、週明けにも国会への逮捕許諾請求の手続きに入ろうとしています。そうなれば、鈴木氏本人の違法行為がいよいよ明白になり、同氏に対する議員辞職勧告決議案の取り扱いが改めて焦点となります。
「政治とカネ」の問題の解決に、背を向けてきた政府・与党の責任が厳しく問われることは必至です。