日本共産党

2002年6月18日(火)「しんぶん赤旗」

主張

鈴木氏逮捕請求

汚職・腐敗の全容にメスを


 検察当局が、鈴木宗男衆院議員の逮捕状を東京地裁に請求し、政府が国会に逮捕許諾請求をしました。

 逮捕請求の理由は、鈴木議員が、国有林の違法伐採で行政処分を受けた林業会社から林野庁への働きかけを頼まれ、五百万円のわいろを受けたあっせん収賄容疑です。

 国会での追及と腐敗政治への世論の怒りがここまで追いこんだものです。同時に、これは、利権あさりで行政を食い物にした同議員の広範囲にわたる汚職・腐敗の一部です。

自民腐敗政治の姿が

 官僚と癒着し、国民の税金で行われている公共事業や対外支援に介入し、利権のために行政をゆがめる――。鈴木議員が問われている汚職・腐敗は、醜悪な自民党腐敗政治そのものです。

 林野庁への口利きにしても、自民党議員としての農水省への影響力や内閣官房副長官としての職権を利用したものです。

 鈴木議員が林業会社からのわいろをいくら「政治献金」と弁解しても、企業の利益のために行政をゆがめ、見返りに献金を受けること自体が、わいろ政治を地でいくものです。

 鈴木議員の汚職は本人の行為が犯罪の構成要件に該当するか否かにかかわらず、これにとどまりません。

 最大の疑惑であるムネオハウスなど北方四島支援事業をめぐっても、すでに秘書が逮捕されています。

 鈴木議員は外務省を“共犯者”として外交を私物化し、入札基準を変えて受注させた企業から献金させていましたが、同省内でそのために動いた関係者も逮捕されています。

 鈴木議員の利権あさりで特徴的なのは、そのための行政への介入がいかに国民に重大な害悪をもたらすかを典型的に示していることです。

 とりわけ国益に直接影響する外交をゆがめた害悪の大きさは、外務省一部幹部と結託して対ロ秘密交渉を進め、政府の公式な方針をも大幅に後退させ、歯舞、色丹二島返還だけで領土問題を決着させる方向に動いたことに示されます。

 したがって、鈴木氏の汚職・腐敗の究明は、検察当局が逮捕理由とする林野行政をめぐるあっせん収賄にとどまらず、疑惑の全容を解明しなければなりません。

 圧倒的多数の国民は、鈴木議員再喚問による疑惑の徹底解明と議員辞職勧告決議案の採決を要求していますが、自民党など与党はこれを妨害し、疑惑隠しと鈴木氏擁護を露骨に進めてきました。

 ここには、政権党の汚職・腐敗体質にさえ自らメスを入れることができないほどにゆきづまった自民党政治の姿があります。

 小泉首相も、鈴木氏の疑惑が発覚するたびに「鈴木氏本人の問題」として疑惑究明に背をむけてきました。逮捕請求が出ても、「国会も適切に対処すると思う」と相変わらずひとごとのようにのべています。

 これは、首相のいう「改革」なるものが、自民党の古い、腐った自民党政治の延命作戦でしかないことを重ねて明らかにしています。

与党の妨害打破して

 汚職・腐敗を徹底解明するためには、国民世論の力で小泉内閣と自民党など与党を追いつめ、その妨害を打ち破らなければなりません。

 鈴木議員の逮捕許諾は当然ですが、国会が刑事責任を追及する捜査当局まかせにせず、国政調査権を行使し、疑惑の実態を究明するために全力をあげることが必要です。

 汚職・腐敗政治を断ち切るためにも、その全容を国民の前に明らかにすることがいよいよ重要です。

 


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