2002年6月19日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 建設労働者に退職金を保障する、国の共済制度があるそうですが、どんな制度ですか。(高知・一読者)
〈答え〉 建設業退職金共済(建退共)制度は、雇い主がしばしば変わる建設労働者に国が退職金を保障する制度として設けられたものです。中小企業退職金共済法によって定められた共済制度の一つです。
厚生労働省所管の特殊法人である、勤労者退職金共済機構が対象労働者に退職金を支払います。建設業の事業主が同機構と共済契約を結ぶと、被共済者となる現場労働者に退職金共済手帳が配られます。この手帳は雇い主がかわっても有効です。労働者が一日働くごとに三百円の共済証紙が手帳にはられ、証紙が一定数たまると、退職するときに証紙の日数に応じて退職金が受け取れる仕組みです。
建設工事を受注した元請け業者は、工事に必要な労働者の掛け金に相当する共済証紙を一括購入し、下請け業者にのべ労働者数に応じて証紙を交付することを求められます。特に公共工事では、証紙購入費用も工事積算価格の中に含まれています。
しかし、元請け業者が必要枚数の証紙を購入しなかったり、購入しても証紙が下請け業者にわたらないなどで、手帳に証紙がはりつけられない事例が多発しています。結果として元請け業者が掛け金を流用しているのではないかという疑惑も指摘されています。
また地方自治体発注工事では受注元請け業者に、共済証紙購入を金融機関が証明する発注者掛金収納書を提出させることになっていますが、半数程度の自治体しか実施していません。
このような現状があるため、日本共産党は、自治体に元請け業者の掛金収納書提出を徹底させること、元請け業者が下請け労働者の証紙はりつけに責任をもつ体制づくりを政府に求めてきました。政府は四月の国会答弁でこれらの努力・検討を約束し、都道府県が市町村に掛金収納書の提出制度を周知させるよう通達しました。
(博)〔2002・6・19(水)〕