2002年6月21日(金)「しんぶん赤旗」
健保三割負担や高齢者窓口負担の大幅引き上げなどを内容とした医療大改悪法案の衆院本会議での採決を自民、公明、保守の与党三党は、国民世論に背を向け強行しようとしています。鳩山邦夫衆院議院運営委員長は二十日の理事会で、医療改悪法案採決へ、二十一日に本会議を開くことを職権で決めました。二十日の衆院議員面会所は、「国民の声が聞こえないのか。みんなでここまで追いつめてきた。日本中で大宣伝し、悪法は通させない」との要請者の声であふれました。
医療改悪反対署名は、二千六百万を超えました。国民の五人に一人が署名、さらに広がり続けています。長野県で十九日、県医療団体連絡懇談会と県社会保障推進協議会の代表が記者会見し、同県内の社長、百六十一人が「医療費負担増法案を撤回・廃案にすることに賛成。大いに協力します」と三千七百九十人分の署名を寄せたことを発表しました。
そのなかには「サラリーマン、高齢者の負担をこれ以上増やすことは無理なことです。当社もここ数年給料を上げていません」「昨今の様なむだな公共投資は極力抑え、福祉の充実に回してほしい」と切実な声がそえられていました。
自治体の反対意見書は岩手、富山、静岡、三重、京都、和歌山、高知の七府県議会をはじめ、六百近くに達しています。
テレビ朝日系の世論調査で医療改悪反対が57・8%にのぼり、一番通したくない法律となっています。
労働組合、民主団体四十団体が参加する中央社保協の地域組織は、四十七都道府県、二百八十地域に広がり、「医療・くらし守れ」の共同が急速にすすんでいます。三十四都道府県で新聞に折り込んだ千四百万枚を超す返信用はがきつきビラは反響を呼び、十二万人の署名、約五万にのぼる返事が寄せられています。「不況で仕事がない。三割負担との内容にがく然とした。いまやるべきではない」(旭川市の労働者)、「十分な診療ができなくなる」(開業医)と怒りの声に満ちています。
中央社保協をはじめとする労組・市民団体は、国民的反対の声に背を向ける政府・自公保の三党にたいし、抗議の声を地域から集中し、さらに有事法制反対などの運動と結んで、世論を広げる宣伝・対話を進め、廃案に追い込む構えです。