2002年6月22日(土)「しんぶん赤旗」
公明党がムネオ・マネー問題で大慌てしています。ムネオ・マネー問題とは、あっせん収賄容疑で東京地検に逮捕された鈴木宗男衆院議員が自民党、公明党の国会議員五十八人に三年間で約二億四千万円もの巨額資金をばらまいていた問題です。
公明新聞二十一日付は、この事実を指摘した日本共産党の志位和夫委員長にたいし、「志位氏の“公明中傷”発言に反論」「ムネオ疑惑とは全く無関係」などと題して、冬柴鉄三幹事長の発言を載せています。
しかし、冬柴氏自身、「公明党の遠藤和良衆院議員」が「鈴木氏本人が持参した五十万円」を受け取ったことは認めています。鈴木氏から政治資金を受け取っておいて、「ムネオ疑惑とは全く無関係」というのはまったく通用しないあきれ果てた厚顔無恥な態度です。
ムネオ・マネーの原資は、鈴木氏が公共事業や「北方四島」支援事業などを食い物にして得た資金です。行政に介入し、自らの後援業者に受注させ、献金を吸い上げていました。休眠政治団体に三億円もの「裏金」をためこんでいたことも報じられています。これらの一部が今回、わいろと認定されたのです。
志位氏は、こうした事実にもとづき、「ムネオ・マネーを受け取った政治家―『ムネムネ会』というのもあったそうですが、そういう政治家はとくにだと思いますけれども、受け取った側の政治的道義的責任という問題が当然問われてくることになります」と指摘。そのうえで、「自民党ぐるみ、あるいは与党でも一部もらっている、公明党にいたわけですから、そういう党も含めた体質の問題として究明されなければなりません」とのべたのです。
この発言のどこが「中傷」なのか。国民の税金を食い物にして得た資金のおこぼれにあずかっていたことを恥ずかしいと思わないのか。公明党は逆うらみするのではなく、ムネオ・マネーに汚染された議員がいた不明を恥じて、国民に経過と真相を説明するのが筋です。
ちなみに冬柴氏は「『ムネムネ会』なるものに、あたかも公明党議員が所属しているかのような志位氏の発言」などといっていますが、志位氏は公明党議員が「ムネムネ会」に入っているとは一言もいっていません。姑息(こそく)なごまかしで、「ムネムネ会」に入っていたかどうかに問題をすりかえようとしてもムダなことです。
公明党がここまで大慌てになるのは、これまでムネオ・マネーに同党議員が汚染されていたことに、だんまりを決め込んでやりすごそうとしていたからです。
遠藤氏は内輪では三月八日の同党衆院議員団会議で事実を認め、「軽率だった」と“陳謝”、同月十二日には鈴木氏側に五十万円を返却しています。ところが、公明新聞は“陳謝”や返却の事実はもちろん、鈴木氏から政治資金を受け取っていたことそのものを、これまでいっさい報じてきませんでした。
そこに、志位氏から事実を指摘されたことがテレビ報道されたため、慌てふためいて「反論」記事を掲載せざるを得なくなったのです。皮肉なことに、この記事が公明党のムネオ・マネー汚染を伝える最初の報道となりました。
冬柴氏は「この五十万円は法的にも適正に処理され、何ら問題はない」などと開き直っていますが、遠藤氏は、この五十万円さえ政治資金収支報告書に記載していませんでした。ムネオ・マネーを受け取っていた政治家五十八人中、無届けだったのは七人。遠藤氏はこの七人のうちのひとりだったことも指摘しておきます。
(F)