日本共産党

2002年6月22日(土)「しんぶん赤旗」

ごみリサイクルの「拡大生産者責任」とは?


 〈問い〉 最近、ごみ減量やリサイクル促進でいわれている「拡大生産者責任」とは、どういう考え方ですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 拡大生産者責任(EPR)とは、使用後の製品回収や再資源化の費用を、製品コストとして生産者に負担させる考え方です。製品に加わったコスト削減のため、生産者に環境負荷が少なく再利用できる製品の開発や普及を促し、ごみ減量や再資源化を進めます。製品の使用が終わったあとまで生産者責任を拡大するので拡大生産者責任と呼ばれています。

 この方法は、二十世紀終わりごろからドイツなどが着手し、成果を上げてきました。おもな工業国が加盟する経済協力開発機構(OECD)も、検討を重ね、二〇〇〇年に政府向けガイダンスマニュアルを作成しました。EU(欧州共同体)も各種指令を出しています。世界的な方向になっているのは、累増する廃棄物を焼却し埋め立てるやり方が、財政的にも環境保全のうえでも限界にきたためです。

 日本では、拡大生産者責任の政策は遅れています。二〇〇〇年に成立した循環型社会形成推進基本法は、拡大生産者責任の考えが入っていると政府は説明しますが、「技術的及び経済的に可能な範囲で」などの限定条件がつけられています。

 このような拡大生産者責任の弱さは、ごみ減量・再資源化に困難をもたらしています。たとえばペットボトルなどを回収・再利用する容器包装リサイクル法は、メーカーの責任を問わないため再利用困難なボトルの生産が急増しています。自治体の財政負担も深刻です。

 他方、政府は「熱回収」などと称し、焼却の廃熱を発電にまわす大型焼却炉建設に力をいれています。しかし燃やせばよいという政策は生産者の減量化や再利用を妨げ、焼却発電のためごみ量を固定化しかねません。

 日本共産党は、焼却路線でなく、生産者に回収・再利用を製品コストとして負担させる、拡大生産者責任に立つよう政府に要求しています。

 ()〔2002・6・22(土)〕

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp