日本共産党

2002年6月23日(日)「しんぶん赤旗」

民衆に思い寄せる宗教者は
有事法制を認められない

教団レベルで広がる運動


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有事法案に反対する宗教者のデモ行進=16日、東京

 有事3法案をめぐる最近の宗教界の動きは、教団レベルの反対運動という新たな段階に入ろうとしています。

 各教団の決議・声明には、民衆の命や暮らしにこころを寄せる宗教者の良心が凝縮しているように見えます。

戦争回避こそ“唯一の選択”

 決議・声明に共通する特徴は第一に、有事三法案が憲法の平和原則や基本的人権に対立するという指摘。英国教会に始まり世界に広がった教会である日本聖公会の総会決議は、憲法前文と第九条を引用し、「(有事法案は)明らかに日本国憲法に反し、戦争への道を歩もうとするもの」と批判。プロテスタントの日本基督教団の声明も憲法を引用し「いかなる事態に於いても戦争を回避することに全力を尽くされることこそ、わが国の取るべき唯一の選択」と述べています。

宗教理念や教えに立脚

 第二の共通した特徴は、各教団がそれぞれの宗教理念や宗祖の教えに立脚して有事法案反対を唱えていること。

 「釈尊(釈迦)の金言『殺すな・殺させるな・殺すことを認めるな』。それに反する有事法案を認めてはならない」とする本山修験宗(本山・聖護院)の宗会特別決議は、「一つの命はかけがえのない一つの人生を持っている。故に己の命も他者の命も尊さは宝に勝り何物にも代えがたい。人として生まれた縁を大切に、共に和して生きる道を修めるのが仏道のみならず人道なのである」と述べています。

 滋賀県の園城寺(三井寺)が本山の天台寺門宗の決議も、有事法案が憲法の平和・人権条項を侵害すると指摘したうえで、仏教の「和」の精神をとりあげ、「たとえ国家間の紛争であろうとも、あらゆる問題の解決手段として『暴力』を拒否することこそ肝要」としています。

 プロテスタントの日本バプテスト同盟の声明は、聖書の「平和を実現する人々は幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイによる福音書五章九節)を引用して「戦争ではなく平和を生み出すことこそ、日本の歩むべき方向である」と呼びかけています。

侵略戦争協力悔い改め反省

 戦前、日本の宗教界は天皇制と軍部の圧力のもとで、侵略戦争に協力させられるという苦い体験を持っています。こうした戦争協力への反省も決議や声明に込められています。

 真宗大谷派の決議は「私たちの教団は、かつて宗祖親鸞聖人の仰せになきことを仰せとして、先の戦争を『聖戦』と呼び、国家に協力しアジア諸国を始めとする世界の人々に言語に絶する惨禍と苦難をもたらしました」とのべ、その責任を「自らに問い続け」、「過去の誤った道を再び歩んではなりません」と説いています。

 一九九二年に「『戦争責任』に関する悔い改め」を発表した日本バプテスト同盟の声明も「国家が再び危険な道を歩み始めている時、私たちは主から託された見張りの使命が私たちにあることを自覚しています」と述べています。

宗教者ネットいち早く組織

 宗教者は有事法案に対し、いち早く「平和をつくり出す宗教者ネット」を結成しました。

 陸海空港湾関係労組と宗教者ネット、キリスト者平和ネットらが呼びかけた「STOP!有事法制5・24大集会」ではカトリックの白柳誠一枢機卿も賛同者になり、同じく「6・16全国大集会」では日本宗教者平和協議会の石川勇吉事務局長(真宗大谷派)が開会あいさつをするなど、有事法案反対運動の推進役を担っています。

 中央・教団レベルの運動に呼応し、各地域でも宗教者の動きは活発化しています。

 教区として反対決議をしデモ行進で訴える例(浄土真宗本願寺派=西本願寺など)や、地域の宗教者が民主団体や日本共産党とともに集会やデモに参加する例も増えています。

 


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