日本共産党

2002年6月24日(月)「しんぶん赤旗」

有事法制 巻き返しはかる政府・与党

自民幹部 「成立断念」報道を否定

公明幹事長 「審議熟せば採決を」


 衆院有事法制特別委員会が二十四日、二週間ぶりに再開します。マスコミの世論調査でも反対が賛成を上回るなど、日に日に反対世論が高まるなか、政府・与党は、あくまで成立をめざし、巻き返しに必死です。

「死んだ法案ではまったくない」

 「有事(法案)の扱いについて、マスコミ的には死んだ法案になっているが、そんな思いはまったくない。ぜひ成立させたいという決意がある」

 自民党の町村信孝幹事長代理は二十一日、都内の講演でこうのべ、マスコミの「成立断念」報道を再三否定。二十四日の審議再開を契機に「防衛庁リスト問題でいちおうの決着をつけて、前にすすめていきたい」と意欲を示しました。

 公明党の冬柴鉄三幹事長も十九日の講演で、四十二日間の国会会期延長による見通しをきかれ、「有事法制は、すでに五十時間を超える審議を重ねている。(審議が)熟したところで採決したい」といい切りました。

 ある自民党関係者も審議の見通しについて、「要はやる気の問題だ。通そうと思えば、時間はある」と強気です。

 五日、七日に開かれた地方公聴会では、与党推薦の意見陳述者からも「議論はまだ不十分だ」(鳥取県の片山善博知事)、「(有事法案は)本能的にちょっと怖いなと思った」(北川誠一郎・長崎短期大学助教授)と、懸念や慎重審議を求める声が相次ぎました。

 しかし政府高官は「慎重審議というのは、審議しろということ。成立させるなといっているわけではない」と、国民の批判を正面から受け止めようとしません。

 先の自民党関係者も「注目しているのは、自治体などから出ている国民保護の法制をいっしょに出せという声だ。こういう議論はどんどん出てきた方がいい。今後、国民保護法制は加速度的に進む」と期待感さえ口にします。

 戦争遂行の上で障害になる住民排除がねらいで、本来、国民統制法制というべき個別法の未整備まで、有事三法案推進のテコにしようという姿勢です。

ホームページに“反論”コーナー

 高まる反対世論を意識した動きもあります。

 自民党は、二十日に更新したインターネットのホームページで、「外国の攻撃意欲を阻み国民の基本的人権を守る」と題した、有事法案の解説コーナーを設けました。

 そこでは、実際には武力攻撃が発生していない「予測」や「おそれ」の段階から法案が発動するにもかかわらず、「日本への武力攻撃が前提であって、戦争とはまったく違う」などと事実を偽って、法案の危険性を躍起になって否定。

 米軍がアジア太平洋地域で軍事介入する「周辺事態」とのかかわりでは、「それぞれの法律の定めによって運用されることになり、混同されることはありません」と“反論”を始めています。しかし、武力攻撃事態と周辺事態の「切り分け」には、与党議員も「理屈の上では可能でも、実態面でそういえるのか」と疑問視しています。

 福田康夫官房長官も、米軍支援する自衛隊が攻撃を受ければ、法案発動が「法理論的には、あり得る」としています。

 海外での武力行使に道を開く法案の危険性が国民に知られつつあることに危機感を抱き、反対世論を抑えつけようと必死です。

 


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