日本共産党

2002年6月27日(木)「しんぶん赤旗」

リストラ支援の産業再生法とは?


 〈問い〉 以前、大企業がリストラで利益を得られる産業再生法のことを聞きました。どんな法律なのですか。(岡山・一読者)

 〈答え〉 自民・公明・自由(いまの保守党を含む)三党などの賛成で、一九九九年八月に制定された産業再生法(産業活力再生特別措置法)は、大企業などがリストラ計画を提出するみかえりに、税制上の特例措置や金融面での支援など、優遇措置を与える法律です。大企業が無責任なリストラを競うテコのひとつになっています。

 この法律の適用を受けようとする事業者は、「事業再構築計画」を所管省庁の主務大臣に提出し、認定をうけます。計画が認定されるには、「生産性を相当程度向上させることが明確であること」などが必要です。生産性の向上については経済産業省の基準があり、従業員一人当たりの付加価値額が6%以上上昇することや、自己資本当期純利益率などの上昇数値が示され、いずれかを満たすよう求められています。これらの条件を達成するいちばん簡単な方法は、人件費の削減であるため、大企業の賃下げや人減らしに拍車がかかっています。

 リストラ計画が認定された企業は、税制面では、登録免許税や不動産取得税の減税、設備廃棄にともなう欠損金の特例措置などの優遇を受けます。財政・金融面では、日本政策投資銀行などの低利融資や産業基盤整備基金の債務保証などの支援をうけます。そのほか商法上のいくつかの手続が簡素化されます。

 今年六月四日段階で、産業再生法の認定リストラ計画は、各省庁の合計百四十件に達します。昨年四月に発表した日本共産党・山下芳生参院議員(当時)の調査では、登録免許税だけでも上位十五社で二百九十二億円の減税となるいっぽう、この十五社が計画する人員削減計画は三万三千人を超えています。このように減税などでリストラを応援するやり方は、大量解雇を加速し消費を冷え込ませ、「産業再生」どころか不況の悪循環を招くものです。

)〔2002・6・27(木)〕

 


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