2002年6月30日(日)「しんぶん赤旗」
長野県の患者、医師、医療団体などでつくる県医療団体連絡懇談会と同社会保障推進協議会が、県内の中小企業・約五千社の経営者に医療改悪反対運動への協力を要請したところ、二十九日までに、百九十七社の社長が協力を表明。そのうち百五十七人の社長が小泉首相、坂口厚労相らにあてた「医療費負担増法案の撤回・廃案を求める要請書」に署名しました。
要請書は会社名、社長名を明記したうえで、医療改悪法案に反対する「私の意見」を記載しています。そこには「不況の中、社員への昇給もわずかしかできないのに社員の個人負担、企業負担が増えるのは納得できません」(松本市・製造業)など経営者ならではの切実な声が多数、寄せられています。
また同日までに、百八十四社から五千四百人を超える医療改悪に反対する請願署名が、呼びかけ団体に返送されています。なかには署名用紙をコピーして三百人以上の署名を集めているところもあります。
要請や署名に協力した長野市内の製造業(従業員四十四人)の社長は、「売り上げは前年比で二〜三割減。そこへ保険料値上げによる事業主負担増は大きな痛手です。それに健保三割負担になれば社員は医者にかかりにくくなる。値上げはやめてほしい」と語っています。
要請書と請願署名を送ったミドリ樹脂=プラスチック加工業、戸倉町=社長・緑川善典さんの話 この不況のなかで保険料を値上げするなんて、経営者は従業員を社会保険に入れたくなくなりますよ。
そもそも負担を増やす前に、政府はまずムダをなくすべきです。薬も先発品なんか高いんでしょう。それを安いのに変えれば医療費が助かるんです。長野県内の病院でも安い薬の採用をはじめていると新聞に出ていました。こういうことこそ、もっとやるべきです。
あらゆる面でムダを徹底してなくした上で、負担を増やすというならそれは分かる。しかし、今度の医療改革は負担だけ増やすもので、ムダの方はそのままになっているじゃないですか。これでは筋が通りません。