日本共産党

2002年7月2日(火)「しんぶん赤旗」

延長国会あと1カ月

「有事」「医療」めぐる情勢、

今後のたたかいは…

市田書記局長に聞く


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インタビューにこたえる市田書記局長=1日

 延長国会は七月に入り、三十一日までの会期末まで残すところ一カ月となりました。有事法案や医療改悪法案などをめぐる情勢をどうみるのか、日本共産党はこれにどう臨むのか、市田忠義書記局長に聞きました。(赤旗政治部)

四大悪法とどうたたかうか

 ――政府・与党が「重要法案」と位置付ける有事法案、医療改悪法案、郵政関連法案、個人情報保護法案にどう臨みますか。

 市田 これら四つの法案はどれも、暮らし、平和、民主主義、人権を破壊し、踏みにじる悪法です。どの法案も廃案・撤回を求めて最後までがんばるというのが日本共産党の立場です。

 政府・与党は、これらの悪法をすべて通すという構えで国会を延長しました。法案の行方についてマスコミがさまざまな観測を流していますが、この法案は通りそうだからあきらめる、あの法案は通る見込みがないから力を抜くというのではなく、国会での論戦と草の根からの運動でこれら悪法のすべてを廃案に追い込む、火種を残さないところまで徹底的に追い込むということが大事です。

有事―マスコミは「今国会成立断念」というが

 ――マスコミでは有事法案について「今国会での成立は断念」などといわれていますが。

 市田 私たちの国会論戦やたたかいを通じてそういわれるところまで追い込んできたことに大いに確信をもとうではありませんか。

 しかし、同時に、政府・与党は追いつめられても、決して断念はしていないことをきちんとみる必要があります。

 実際、私も出演した六月三十日のNHKの討論会では、与党の幹事長がそろって“採決の条件が整ってきた。いつ採決してもおかしくない”とのべました。決してあきらめていないのです。

 この問題では、わが党の国会論戦で、法案が、日本が攻められたときではなく、アメリカの戦争を支援するために海外に展開中の自衛隊が武力行使をおこなうことに道を開き、その際に国民の自由や人権を奪うものだという本質を明らかにしてきました。

 同時に、国会での政府の答弁はボロボロで、法案推進派の人も“これではこの法案を通すわけにはいかない”とのべているほどです。

 法案の担当大臣である福田康夫官房長官と中谷元・防衛庁長官は、非核三原則見直し発言と防衛庁個人情報リスト問題で、有事法案を担当する資格が問われる事態にまでなっています。

 加えて、国会論戦と結んで、国民的な規模で草の根からの運動が発展しています。陸・海・空・港湾労組や宗教者などによる二つの大規模集会の成功をはじめ、ささやかなものにみえても一枚のビラ、一人ひとりの署名がたいへん巨大な力をもっていることも、この間の経過は示しています。

 日本を代表するような仏教やキリスト教の団体などが廃案を求める意思を明確にし、地方自治体の長からも反対や慎重審議を望む意見が相次いでいます。

 私たちは、強行を許さないことはもちろん、継続審議も許さない、廃案に追い込んださい、後に火種を残すようなことも許さない、そのためには、この七月のたたかいがたいへん大事だということを強調したいと思います。

医療――「成立」は既成事実か

 ――四大悪法のなかで、衆院を通過したのは医療改悪法案だけです。このため、マスコミは「成立」が既成事実であるかのように扱っていますが。

 市田 衆院で可決された法案も、参院で否決した例はあるのです。たとえば、細川内閣のもとで「政治改革」と称して持ち出された小選挙区法案は衆院で通りましたが、参院では否決されたのです(一九九四年一月)。

 これだけ不況で暮らしが大変なときに、保険料と窓口負担で年間一兆五千億円の国民負担を強いるのは、健康破壊だけでなく、暮らしと景気の破壊にもつながります。だからこそ、二千六百万人にのぼるかつてない規模の反対署名が集まり、六百の自治体が反対決議をあげているのです。

 労組でも、全労連はもちろん、連合も先の中央委員会で「有事」と「医療」について「成立阻止を求める特別決議」を採択しています。

 参院段階で、徹底した研ぎ澄まされた論戦を行い、世論をいっそう巻き起こして、参院で否決に追い込む。その条件と可能性は十分あります。

 衆院の参考人質疑で、医師会代表が条件つき賛成を述べたことに、医師会内部からも強い抗議の声があがりました。法案を審議する参院厚生労働委員会の自民党委員には医師出身者が多い(十人中五人)ので、こうした声が反映される条件もあります。現に、参院段階では、健保本人三割負担の実施時期を先送りする修正意見もでるくらいです。

 いうまでもなく、法案は衆院を通ったからといって、参院で可決されなければ法律として成立しないわけですから、これからががんばりどころです。

延長国会で求められるのは…

 ――延長国会でとりくむべき課題はなんでしょう。

 市田 「政治とカネ」の問題でいえば、鈴木宗男衆院議員の逮捕で一件落着というわけにはいきません。根本的にメスを入れる必要があります。

 企業・団体献金の禁止、少なくとも公共事業受注企業からの献金を禁止する、野党四党提案の政治資金規正法改正案を速やかに審議し、可決する。あっせん利得処罰法改正案は、与党側によって骨抜きにされて衆院を通りましたが、参院の審議では、法案から「請託」条件を外したり、家族、首長、地方議員の私設秘書にも処罰対象を適用する修正をかちとることが国民の期待にこたえる道です。

 暮らしと景気が大変ですから、予算委員会で経済問題などの集中審議もやっていく必要があります。

 個人情報保護の問題では、防衛庁のリスト問題に加えて、資源エネルギー庁の原発立地給付金拒否者リストの問題、総務省が情報公開請求の取り下げ圧力に関与した問題もあります。個人情報問題は、各省庁にまたがっている可能性が大いにあるわけで、総点検で真相を明らかにする追及が大事です。

 


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