2002年7月3日(水)「しんぶん赤旗」
厚生労働省は二日、二〇〇四年の次期年金改正に向け、給付と負担の見直しの基本的な論点をまとめ、社会保障審議会年金部会に示しました。
将来にわたって保険料水準を固定し、少子化や高齢化、景気変動に応じて、給付額が自動的に変わる仕組みの検討を打ち出しました。これは、経済の悪化を自動的に年金給付額の削減につなげるものです。給付水準については、「低下はどこまで許容されるか」とのべ、自動調整の方法を検討するとしています。
また厚生年金の保険料について、現行水準で長く固定するなら将来の年金給付の大幅抑制が必要だと明記。基礎年金への国庫負担が三分の一(現行)の場合は、四割カット、二分の一に国庫負担を引き上げた場合は三割カットになるとしています。
厚生年金保険料率は現行13・58%(年収ベース、労使折半)で、これを段階的な引き上げで二〇二五年度には20%程度にする計画。次期見直しによって二〇〇四年十月から14・58%に引き上げることを見込んでいます。
「論点」は、この次期引き上げを凍結するようにでもなれば、将来の保険料の引き上げ幅がより大きくなり、かりに現行保険料水準を続けるなら給付が半分近くに減らされることもありえると試算したもので、保険料引き上げ凍結の解除、引き上げ時期の前倒しを国民に迫るねらいです。