2002年7月6日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 小泉内閣の「構造改革」路線は農業ではどんな政策を出しているのですか。(宮城・一読者)
〈答え〉 小泉内閣の農業分野での「構造改革」像は、二〇〇一年八月に農水省が発表した「農業構造改革のための経営政策」に大枠が示されています。食料の輸入依存を前提に、「育成すべき担い手」とみなす農業経営のみを対象に予算と施策を集中し、農家の選別・切り捨てをすすめるものです。
育成対象は大規模農家と法人経営に限定し、株式会社の農業参入を大幅に認める農地法の改悪もすすめようとしています。日本の多様な気候条件や、小規模農家が生産のかなりを担っている現状を無視したものです。輸入急増などが引き起こす「価格の変動による収入減のリスク」についても、農家にも拠出させる保険制度などをあげるのみで、生産者価格の下支えや輸入規制には背をむけています。
また「二十一世紀における水田農業の確立―構造改革促進のための米政策の総合的抜本的見直し(検討素案)」と題する政策文書は▽経営対策の対象から副業的農家を排除▽生産調整を面積配分から数量配分に変更▽計画流通米制度の廃止―などを打ち出しました。関係者から強い反発がおきていますが、農水省は内部に設置した「生産調整に関する研究会」で、素案にそった見直しをすすめています。
今国会では、農林漁業金融公庫資金や農業改良資金による融資・助成の対象をせばめ、一部経営に集中させるなどの改悪が行われました。
野菜も輸入急増で価格が暴落し、大規模経営も困難に直面しています。これに対して政府は「野菜価格安定制度」の対象農家を広げました。しかし、セーフガードの本発動見送りなど輸入を野放しにしたままでは、値下がりに歯止めをかけられず、安定した生産を保障するものになっていません。国民が望む食料自給率向上のためにも、家族経営を支える農政への切りかえが求められます。
(博)
〔2002・7・6(土)〕