2002年7月7日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 今年、世界食料サミットの五年後会合で、食糧問題のとりくみの遅れが論議されました。日本政府の支援はどうなっていますか。 (広島・一読者)
〈答え〉 FAO(国連食糧農業機関)の主催で今年六月に開かれた世界食料サミットの五年後会合は、一九九六年のローマ宣言で確認された、世界八億人の飢餓人口を二〇一五年までに半減する目標の遅れが論議されました。
今でも栄養不足の飢餓人口は八億人を超え、この五年間に毎年六百万人の割合でしか減少していません。この速度では二〇一五年になっても六億人の飢餓人口が残されます。貿易自由化と多国籍企業の活動で各国の農業が脅かされていることや戦争・紛争による荒廃などに加え、主な工業国が集まるOECD(経済協力開発機構)諸国の農業援助が九〇年代に大幅に低下している問題も指摘されました。途上国へのODA(政府開発援助)を国内総生産の0・7%に高めることなどを、主な工業国に求めています。
日本の今年度ODA予算は10・3%減の九千百六億円と、三年連続の削減ですが、それでも総額では世界一、二位の規模となります。適切に使われれば食糧問題でも大きな役割を果たせるものですが、人道支援分野も大幅な削減になっています。
特に、食糧援助は三百十七億円から二百三十五億円へ、25・6%の減額です。なかでも、食糧増産のための肥料や農業機械購入にたいする食糧増産援助が40・0%減額され、百二十八億円となっています。
また国連など国際機関への拠出金は10・8%削減され、この中には33・4%減の十一億九千万円となったWFP(世界食糧計画)への拠出分もあります。
このように今年度予算では飢餓・食糧問題へのとりくみの後退がめだちます。道路や空港、ダム建設などの割合が異常に高い二国間ODAや、日本企業の受注比率が突出している円借款などにメスをいれ、食糧問題をはじめODA本来の人道支援を中心にすべきです。
(水)
〔2002・7・7(日)〕