2002年7月10日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 国会が議員辞職勧告を決議するのは、どういう目的からですか。(三重・一読者)
〈答え〉 議員辞職勧告決議は、国会を構成する各議院がその所属議員に対し議員を辞めるよう勧告するものです。国権の最高機関の意思表明であり政治的に極めて重いものですが法的拘束力はなく、決議がなされても、議員の失職に直ちにつながるものではありません。
勧告決議の目的は、汚職などで重大な疑いをかけられた議員の政治的道義的責任を問うことで、国会が政治に対する国民の信頼にこたえるものです。
六月二十一日の衆院本会議で鈴木宗男衆院議員に対する辞職勧告決議が議決されましたが、衆院で初のケースとなります。それまで衆参あわせ十議員、二十三件の決議案が提出されましたが、採決まで持ち込まれたのは参院の二件で、可決されたのは一九九七年の友部達夫参院議員(オレンジ共済事件で逮捕)の一件だけでした。
憲法前文が「国政は国民の厳粛な信託によるもの」とのべているように、国民の政治に対する信頼を維持することは、国会議員に課せられた重要な責務です。従って、政治家としての資格にかかわる事柄で疑惑を持たれた政治家は国民に対し十分な釈明ができなければ、自ら責任をとって辞職するべきです。これは、刑事責任が明確になるかどうかとは別次元の責任です。
政党政治のもとで議員は所属政党を代表している以上、その政党が自浄能力を発揮し、真相の解明と疑惑政治家の政治的道義的責任の明確化につとめるのが当然です。ところが、自民党は鈴木宗男衆院議員の疑惑についても一貫してこの責任を放棄してきました。
疑惑政治家とその所属政党が責任を取らない状況を国会が放置するなら、国会自身の責任が問われることになります。その意味で、議員辞職勧告決議は国民の政治に対する信頼回復のために国会が自浄作用を発揮するものといえます。
(中)
〔2002・7・10(水)〕