日本共産党

2002年7月15日(月)「しんぶん赤旗」

温暖化ガス 日本が排出権を買い取ったのは?


 〈問い〉 このあいだ、日本が外国から温暖化ガスの排出権を買い取ったのはなぜですか。(神奈川・一読者)

 〈答え〉 日本政府がこの七月までに、カザフスタン政府から二酸化炭素排出権を取得する契約を結んだことが伝えられています。経済産業省の外郭団体がカザフ国内の火力発電所を改修するかわりに、削減されるカザフの二酸化炭素、年六万トンの排出権を、二〇〇八年から一二年まで日本が譲り受けます。このようなことをするのは国内の温暖化ガス削減に責任をもたない政府が、外国から排出権を買い取り、削減目標の数字合わせをするためです。

 二酸化炭素をはじめとする地球温暖化ガスの削減目標を定めた京都議定書は、二〇〇八年から一二年までに締約国が目標を達成するよう求めています。ところが議定書締結のときに、他国の排出削減量や排出枠の一部を買い取れる排出権取引や、森林管理で二酸化炭素の「吸収」を高めるなどとする抜け道が、日米政府らによってもちこまれました。

 日本の目標は一九九〇年比で6%削減することですが、九九年には九〇年より6・9%も増える事態になっていました。目標を達成するには、これまでにない本腰を入れた取り組みが必要になっています。

 この三月に政府は地球温暖化対策推進大綱を見直し、発表しました。しかし削減目標6%のうち国内削減は九〇年比0・5%減までで、実効性も危ぐされています。3・9%にあたる四千七百万トンは森林の整備・保全で「吸収」させる計画で、1・6%にあたる千九百万トンは排出権取引などに頼っています。

 温暖化防止には五割から七割の温暖化ガス削減が必要で、京都議定書はその一歩にすぎません。温暖化ガスの大半を排出してきた工業国は特別の責任があります。政府は排出権買いあさりではなく、自主行動計画まかせを見直し企業にも社会的責任を果たさせるなど、国内で責任を達成すべきです。

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 〔2002・7・14(日)〕

 


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