2002年7月17日(水)「しんぶん赤旗」
医療改悪法案についての参考人質疑がおこなわれた参院厚生労働委員会=16日 |
医療改悪法案に対する参考人質疑を行った十六日の参院厚生労働委員会で、出席した六人の参考人のうち、与党の推薦者も含めて四人が法案反対を明言しました。サラリーマン本人などの三割負担、お年寄りへの一割負担の徹底などについて「国民の痛みに塩をすりこむもの」「不安を増大させ、経済の活性化に逆行する」などの批判が相次ぎました。反対を表明したのは、衆院では条件つきで法案成立を容認していた日本医師会をはじめ、全労連(全国労働組合総連合)、連合(日本労働組合総連合会)の両労働組合全国組織の代表などです。
日本医師会の桜井秀也常任理事(与党推薦)は、「法案に断固反対する」と明言しました。
桜井氏は「すぐれた(日本の)医療制度を破壊してしまうような改悪案には強い憤りを感じる」と強調。医療保険財政の破たんを改悪の理由にあげる政府に対し「銀行を助けるために投入した公費の何分の一かを(医療に)導入すればまったく問題はない。いくらでも公費を補う道は残されている」と指摘しました。
質疑のなかで桜井氏は「このような法案がこのまま進むのであれば、いままで医師会、歯科医師会、薬剤師会で政府・自民党を応援してきたが、場合によってはそれをやめざるを得ない。具体的には、選挙でも応援しませんよというところまで覚悟を決めなければいけないところまできている」とのべました。
全労連の坂内三夫事務局長は、保険財政が赤字になった最大の原因は保険料収入と国庫負担が減ったことだと指摘し、雇用対策を確立して保険料収入の基盤を維持する、国庫負担を元に戻すなどを求めました。
参考人に質問する小池晃議員 |
連合の草野忠義事務局長は「国民への負担増は、景気の低迷をさらに長期化させるばかりか、社会保障制度への信頼という点からも大きな問題だ」とのべました。
日本高齢・退職者団体連合の西田八郎会長は「高齢者の診療抑制につながる」と反対しました。
帝京大学医学部入試をめぐる口利き問題で辞任した宮路和明前副大臣については、「そういう感覚の副大臣が責任者の一人として国会に出した法案はもう一度出直せというのが国民の声だ」(坂内氏)、「辞任のみでは失われた信頼は回復できない」(草野氏)という意見が出されました。
健保組合連合会と全国町村会の代表が法案の成立を求めました。
参考人への質疑で日本共産党の小池晃議員は、「四人の参考人が反対を表明されたことを重く受けとめるべきだ。この声を無視して法案を強引に通すようなことは、断じて許されない」とのべ、法案審議を急ぐ与党を批判しました。