2002年7月18日(木)「しんぶん赤旗」
国民健康保険(国保)の保険料を払えず資格証明書を発行された世帯は、医者にかかれない、という深刻な実態が、札幌市の調査をもとにした北海道生活と健康を守る会連合会(道生連、三浦誠一会長)の試算でわかりました。
国保では、保険料を一年以上滞納すると、保険証「返還」で資格証明書を発行され、医者にかかると窓口でいったん全額支払わなければなりません。そのため医者にかかれず手遅れになり、死亡する例も起きています。
道生連の試算によると、二〇〇〇年度の札幌市の国保一般世帯は二十七万六千世帯で、病院や診療所にかかった回数は年七百三十二万五千回。一世帯の平均は二十六・四八回で、月約二回でした。
ところが、資格書を発行されている約九千世帯(国保料滞納世帯の15・3%)を見ると、千三百九十回。一世帯平均年〇・一五回。一回も医者にかかっていない世帯が多数あることがわかりました。
しかも、資格書で受診した人のうち、後で保険適用分(七割)を返還請求したのは二割だけ。八割の人は払いっぱなしになっている実態もわかりました。
国会で審議中の医療改悪法案でも、高齢者の一割負担(一定以上の所得の人は二割)が上限額(一万二千円、低所得者八千円)を超えた分についても、一割または二割を窓口でいったん全額支払い、後で払い戻す償還払い制度にしています。一時的にでも窓口負担が大きくなればお年寄りを医療から遠ざけると、強い不安と怒りの声があがっています。
道生連・三浦誠一会長の話 小泉首相は、国保を基準にして医療改悪をしようとしているが、国保はいま深刻な事態です。負担を増やせば、患者は重症になるまで病院に行けなくなる。一時的に医療費が減るように見えても、結果的に国民の健康が悪化し、重症化して医療費は膨らんでしまう。小泉内閣の負担増は、国民にとって必要な早期発見・早期治療とも逆行しており、是が非でも阻止したい。