2002年7月24日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 あっせん利得処罰法の改正問題で与党案が成立しましたが、すこしは金権政治にメスが入るのですか。(東京・一読者)
〈答え〉 あっせん利得処罰法は、政治家が行政に口利きし、その見返りを得ることを犯罪とする法律です。しかし二〇〇〇年の同法成立の際、かんじんの犯罪に立件や立証が困難な条件が入るなど、実効性が著しく失われていました。
今国会に提出した日本共産党など野党共同の改正案は、これらを改善するものでしたが、自民、公明、保守らは野党の提案を一切拒否しました。与党案の「改正」はこの七月に強行成立されましたが、法の対象に国会議員の私設秘書を加えるなど、ごくわずかな手直しで、次のような問題が残ったままです。
例えば、犯罪とする「あっせん利得」が成立するには、議員らが「請託を受け」ていることが必要とされます。請託(依頼)の有無や内容は当事者しか知りえないのが普通で、これまでの汚職事件でも立証困難とされてきたものです。
同様に、議員らが「その権限に基づく影響力を行使して」いることも要件としています。つまり、「やらなければ質問するぞ」のような議員の質問権などに基づく影響力行使しか問題になりません。大物議員の、単に「○○を頼む」式の圧力は、法をすり抜けてしまいます。
また、処罰対象行為を、国や自治体が結ぶ契約や、行政上の処分での「あっせん」に限っているのも問題です。多発する公共事業がらみの口利き事件などはこれに含まれず、予算措置や公共事業の「箇所づけ」(特定工事に予算枠をとること)なども対象にする必要があります。
さらに、政党支部や政治団体などを抜け道に利用した口利き料授受を許さないために、これら「第三者」への供与禁止も法に明示する必要があります。
このほか、▽議員親族らの影響力行使は対象とならない▽地方議員らの秘書は除外されている―なども手付かずの問題となっています。
(清)
〔2002・7・24(水)〕