2002年7月27日(土)「しんぶん赤旗」
年間一兆五千百億円もの国民負担増を押しつける医療改悪法案について、自民、公明、保守の与党三党は二十六日、日本共産党など野党の反対を押しきって参院本会議での採決を単独で強行、成立させました。野党四会派は本会議の開会強行に抗議して欠席。自民党は医師出身議員を含む九人が欠席し、公明党は二十四人全員が出席して賛成しました。国会改革連絡会の無所属議員一人と会派に属さない議員二人が出席して反対しました。
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医療改悪が実施されると、患者負担は、七十歳以上のお年寄りは十月から一割(一部二割)に、サラリーマン本人は来年四月から三割(現行二割)に増えます。(図)
日本共産党は、午後三時すぎの本会議採決直前に抗議の両院議員集会を開き、志位和夫委員長があいさつ。与党三党の暴挙を告発し、実施を許さないたたかいを進める決意をのべ、「悪法推進者に対する厳しい国民の審判を下すため全力をあげる」と表明しました。
本会議の開会強行に先立ち、日本共産党、国会改革連絡会(自由党、無所属の会)、社民党の三会派国会対策委員長は、二十五日の参院厚生労働委員会で与野党議員の質問を残したまま与党側が質疑を一方的に打ち切り、強行採決したことに抗議。法案審議を委員会に差し戻し、本会議を開会しないよう倉田寛之参院議長に申し入れました。倉田議長は「委員会運営は委員長に責任がある」として回答しませんでした。
午後二時四十分に開かれた参院議院運営委員会で日本共産党、民主党、国会改革連絡会の三会派は医療改悪法案を本会議で採決することについて、反対の意見表明。
日本共産党の畑野君枝理事は、委員会での質疑権はく奪が議会制民主主義をふみにじるとして、本会議採決は認められないと主張しました。
「暴挙につぐ暴挙は絶対に許せない」「解散総選挙に追い込み小泉政権に鉄ついを下そう」。自民、公明、保守の与党三党により参院本会議で医療改悪法案が強行された二十六日、参院議員面会所での要請行動に集まった百五十人から強い怒りの声があがりました。
日本共産党の衆参両院議員が多数かけつけ、市田忠義書記局長が、「民主主義破壊の暴挙を強く糾弾する」と述べ、「多数の横暴で国会は通ったが、これを国民のなかに押しとおすことはできない。この悪法を実施させない国民的な運動にとりくもう。小泉内閣を退陣に追い込み、解散総選挙で悪政推進勢力に鉄ついを下し、国民本位の新しい政治に変えよう」と訴えると、「そうだ」「がんばろう」と力強い拍手がおこりました。
「開業医を代表して暴挙に抗議する」と怒る全国保険医団体連合会の室井正事務局長は、「健保本人負担三割実施の中止を求めて大きな運動をもっともっと広げよう」と呼びかけました。
テレビで本会議の様子をじっと見ていた本田栄一さん(79)=調布市=は、「許せない」と声を荒らげ、「小泉内閣は国民の声を聞かない。総選挙で国民の審判を下すべきだ」と語りました。
医療改悪法が二十六日強行採決されたことに対し、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の医療三団体でつくる「三師会」は同日、「法案が何ら修正されることもなく強行採決で衆参両院を通過・成立したことは誠に遺憾千万である」などとした抗議声明を発表しました。
声明は同時に「国民無視の暴挙に対して重大な決意を持つ」としており、自民党の有力支持団体である医師会などが、同党支持を見直す可能性を示唆しています。