日本共産党

2002年7月27日(土)「しんぶん赤旗」

石油公団「廃止」でも浪費が温存とは?


 〈問い〉石油公団が廃止されますが、浪費構造は温存されると聞きました。どういうことですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 小泉内閣が看板とする「特殊法人改革」に盛り込まれていた、石油公団廃止関連法案が、この七月、成立しました。同公団廃止は、小泉首相が「着実にすすんでいる」改革の例として、あげてきたものです。しかし同公団が巨額の欠損金を生んだ責任にはメスを入れず、石油会社の開発リスクを肩代わりする資金供給も形を変えて残すなど、癒着と浪費の構造を温存したのが実態です。

 石油公団は、一九六七年の発足以来、石油関連会社の経営基盤を支えるという名目で、油田開発へのリスクマネー供給をおこなってきました。例えば、石油鉱床を探り求める探鉱段階では、三割の民間出資にたいし公団から三割の出資、四割の「減免つき融資」(生産困難などで返済免除がある融資)で、七割まで支援しました。ところが公団の支援をあてこんだ安易な開発プロジェクトが乱立し、開発の失敗などで、出資・融資の損失や、利子のたなあげなど、損失が合計一兆円を超えました。

 今回の公団「廃止」で石油公団の融資は廃止され、公団は独立行政法人に移行します。しかし、石油開発計画への融資は国際協力銀行が代わりに行い、公団が移行する新しい独立行政法人が五割まで「債務保証」します。石油公団のリスクマネー供給が、看板を変えただけで基本的に存続されるものです。

 また、プロジェクトごとに別会社を設立して、失敗しても親会社らが責任を負わない方式で無責任な開発計画が乱立してきましたが、これも根本的な見直しはありません。旧通産省などから石油公団や石油開発会社への大量の天下りにもメスは入らず、公団を通じて税金が投入されている開発会社や業界から、自民党に政治献金が渡っている問題でも、平沼経産相は「企業団体献金は認められている」と答弁しています。

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 〔2002・7・27(土)〕

 


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