2002年8月4日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 建設業界で特定建設業者と呼ばれる業者は、下請けの不払い賃金立て替えなど、特別の責任を負っているようですが、なぜですか。 (神奈川・一読者)
〈答え〉 建設業法は、業者の資質向上や工事請負契約の適正化、適正施工など、建設業の健全な発展を目的としたルールを定めています。政令で定める軽微な建設の請負をのぞき国土交通大臣や都道府県知事の営業許可が必要なのも、その一例です。
業界にみられる元請けと下請けの重層的な関係にも、ルールがあります。とくに、政令で定める一定額以上の工事を下請けに委ねることができるのは、特別の基準をみたし許可をうけた特定建設業者だけです。
特定建設業者となることは、業者にとって、より大規模な工事の受注など、営業機会のひとつの飛躍です。同時に特定建設業者は、下請け業者や労働者にも特別の責任を負います。
なかでも建設業法四一条は、下請けの賃金不払いや工事代金不払い事件で、行政が特定建設業者に立て替え払いなどを勧告できるとしています。この立て替え払いは、不況・倒産で多発する不払い事件の被害者を救済する方法として重要です。
ところが最近は、立て替え払いは法的義務ではないなどと、はじめから支払いを拒否し、話し合いにも応じない特定建設業者が目立っています。まだ一度も勧告しない国の消極姿勢もこれに拍車をかけています。
立て替え払いは法的義務ではありませんが、不払い救済など労働福祉行政の観点からの政策的要請です。特定建設業者は特別な許可を受けた業者として、関係者と誠実に話し合い、解決にあたる責任があります。
日本共産党の富樫練三参院議員が七月の国会でこの問題への国の姿勢をただすと、扇千景国交大臣は「なぜ特定業者として特定されているのか、その意味を無視したような業者があれば特定でなくなるのは当たり前」と、業者の姿勢によっては特定の許可取り消しもあり得ることを答弁しました。
(博)
〔2002・8・4(日)〕