2002年8月7日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 いま十万人を超える無年金障害者がいるそうですが、なぜこんなことが起きるのですか。(高知・一読者)
〈答え〉 重い障害を持ちながら、障害基礎年金が支給されない無年金障害者は、こんにち少なくとも十万人以上と推計されています。その多くが学生などで、収入がないため年金に加入できなかった時期に障害者になった人々です。
たとえば学生は、国民年金制度ができた一九六一年から九一年までの三十年間、「任意」加入でとくに加入しなくてもよいとされ、大多数が未加入でした。サラリーマンの配偶者で働いていない人(専業主婦など)も、一九八六年四月より前は、同じように任意加入とされていました。失業など経済的理由で保険料滞納を余儀なくされた人もいます。
ところが政府は、任意加入となっている人たちに、加入しなければ障害基礎年金の受給資格などにも不利益がでるとの説明も不十分でした。
それにもかかわらず、政府は「制度に加入されていなかったり滞納された方、これは制度の谷間の方ではございません」「制度に加入されていなかった者まで影響を及ぼしますと、制度そのものが崩壊してしまう」(九六年十月二十六日、参院での年金局長答弁)などと、無年金障害者への対応を拒否してきました。
それでも国民の批判を前に、政府は一九九六年から七カ年の障害者プランで、無年金障害者問題を「幅広い観点から検討する」としました。今年はこの最後の年ですが、ようやくこの七月に、無年金障害者に障害基礎年金の半額を一般会計から支給するとの坂口力厚労相案がだされ、検討作業に入ったばかりです。
国はただちに救済を具体化すべきです。同時に、制度の欠陥から生まれたすべての無年金障害者に障害基礎年金を支給し、障害者の所得保障を確立する責任があります。
(水)
〔2002・8・7(水)〕