日本共産党

2002年8月8日(木)「しんぶん赤旗」

経済「活性化」というが…

来年度の小泉予算

家計いじめ ムダ温存


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 小泉内閣が来年度予算の概算要求基準を決めました。暮らしに直結する年金・医療費などを抑え込み、むだな公共事業費は“口利き料”程度の削減にとどめる、家計いじめの中身です。これでは経済「活性化」どころではありません。(石井光次郎記者)

社会保障の抑制強行へ

 一般歳出の概算要求基準は、今年から一般歳出を(1)公共投資関係費(2)義務的経費(3)裁量的経費の三つに分けています。

 このうち、不況だからこそ国がしっかり国民生活を支援する必要がある社会保障費は、義務的経費に入ります。高齢化がすすむ日本では、年金や医療費が自然に増えます。

 政府・与党は来年度、本人三割負担などの医療改悪に加え、介護、年金、雇用保険の改悪で三兆二千四百億円の負担を国民におしつけようとねらっています。

 今度の基準では、義務的経費全体の伸びを九千二百億円までしか認めていません。「ここにさらに切り込んでいくことは絶対にやってはならない」(日本共産党の筆坂秀世政策委員長)部分に踏み込んだ政府は、国民負担増の社会保障改悪を何としてでも強行しようとしているのです。

地方補助金カット狙う

 国が地方公共団体に交付する補助金などについても、大幅な廃止・縮減を目指しています。国庫補助負担金は、社会保障関係費と文教・科学振興費で七割近くを占めるだけに重大です。

 小泉首相は、七月に義務教育費の国庫助成負担金の見直しをはじめ、関係閣僚に歳出削減の方向での検討を指示。経済財政諮問会議の「骨太の方針第二弾」では「数兆円規模の削減」が目標に掲げられています。

 さらに、裁量的経費に含まれる国庫補助金のうち、奨励的補助金は5%の削減対象になります。ここに含まれる、私立高等学校の経常費助成費(九百七十八億円)や在宅福祉事業費(千百四十七億円)は直撃のおそれがあります。

公共事業はわずか3%減

 全体として抑制が強調される来年度予算のなかで特別扱いになっているのが公共事業です。今年度当初予算では、10%削減が宣伝されましたが、来年度では削減幅は半減以下の3%。政府と与党の協議では、塩川正十郎財務相が建前の10%削減を出したものの、「ゼロと十の中間の五(%削減)はだめだ」(麻生太郎自民党政調会長)との声に、あっさり3%削減に骨抜きになりました。小泉首相自身、「単価を引き下げることで事業量は減らさないようにしたい」と今年度並みの事業量を確保する考えです。自然破壊とむだ遣いの公共事業にはおお甘の基準です。


「橋本不況」より打撃

大企業減税 将来には大増税

 経済財政諮問会議が決定した二〇〇三年度予算の大枠、「予算の全体像」は、経済を「活性化」するとして、法人の税負担の軽減などの「減税」を打ち出しています。ところが「減税」のための財源は、将来の増税をあてにした「つなぎ国債」です。

 大企業のための減税の規模は一兆円ともそれ以上ともいわれ、財界がこぞって要求している法人税率の引き下げが一番の注目点です。

 政府は、大企業を優遇するのが「需要創出効果」の高いやり方だといいますが、はたしてそうでしょうか。

 これまで大企業優遇の景気対策を繰り返してきましたが、その結果は、リストラや不景気を理由にした設備投資の抑制でした。これでは大企業の収益があがっても景気を立てなおす有効な「需要創出」にはなりません。

 大企業に「減税」した分だけ将来の国民の負担が増えるのでは、家計消費が冷え込み、景気の回復どころではありません。

3兆円負担増 国民に追いうち

 国民にしわ寄せされるのは大企業のための「減税」やむだな公共事業のツケだけではありません。今度の国会で政府・与党が強行した医療改悪や介護保険料見直し、年金保険、雇用保険料率の引き上げ……。政府がねらう社会保障の負担増や給付削減は、合計三兆二千四百億円(二〇〇三年度)にもなります。

 不況で苦しむ国民に大規模な負担増を強いればどうなるかは、九七年の橋本内閣時代の「橋本不況」で体験済みです。当時は雇用者所得が年平均で五兆二千億円増えていました。消費税率引き上げなど九兆円の負担増は、差し引き三兆八千億円の負担増でした。

 ところがいまは年平均で二兆三千億円ずつ雇用者所得は減っています。そこに三兆二千億円以上の負担が加われば、実質五兆五千億円の負担増。「小泉不況」は「橋本不況」をはるかに上回る規模で国民を襲うことになります。

 


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