2002年8月11日(日)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は十日、参院鳥取補欠選挙の応援で訪れた鳥取市内で記者会見し、来年度予算編成に関する政府の基本方針について「端的にいって、『国民から大収奪、大企業にはバラマキ』というものになっている」として、経済政策の根本的転換をもとめました。
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第一に、「国民から大収奪」という点では、医療、介護、年金、雇用保険の社会保障の四分野だけで三・二兆円を超える負担増の計画が、巨額の所得の収奪のもとで進められようとしていることです。
志位氏は、雇用者所得が年平均で二・三兆円減っていることにくわえ、八日の人事院勧告で公務員給与の削減が打ち出され、これによる所得減が全国で〇・七兆円となるなど、深刻な国民所得の収奪がおこなわれようとしていることを告発。「政府は、公務員給与の引き下げを『官民格差の是正』という名目で強行しようとしているが、リストラ応援ということで民間の賃下げをあおっておいて、今度は公務員の賃下げと、官民の賃下げ競争を、政府主導でやっているのが実態だ」と厳しく批判しました。
そして、「このままでは、巨額の所得減に巨額の負担増がかぶさり、暮らしと経済への破壊的影響ははかりしれない」と指摘しました。
第二は、「大企業へのバラマキ」を露骨な形で始めようとしていることです。
志位氏は、大企業向けの減税のバラマキが一兆円とも二兆円ともいわれる規模ですすめられようとしていること、その財源として所得税の控除見直しや法人事業税への外形標準課税の導入など、庶民・中小企業増税が計画されていることを、「経済政策としてもまったく間違ったやり方」と強く批判。
さらに、ゼネコン向けに公共事業のバラマキを続けるのが来年度予算の基本方針になっていることについて、「公共事業については『重点化』『効率化』というだけで、事業量はまったく減らさず、公共事業費も3%減と物価下落分を減らすだけで、浪費の構造は温存されたままとなっている」とのべました。
志位氏は、「この経済政策では、橋本内閣の大失政の愚をいっそう深刻な形でくりかえすことになることは必至だ。国民大収奪政策を中止し、財政の浪費を削減し、大企業むけの減税のバラマキをやめて、暮らしと社会保障にあてる、経済政策の根本的転換を強くもとめていきたい」とのべました。