2002年8月24日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 国が食品添加物の認可を拡大しようとしていると聞きましたが、どうなっているのですか。(大阪・一読者)
〈答え〉 食品衛生法は食品添加物などを規制する唯一の国内法です。同法第六条は認可されていない食品添加物の製造や使用、販売などを禁止しています。同法で認可されない違法添加物の使用発覚が相次いでいますが、厚生労働省は認可添加物を一気に広げようとしており、不安を呼んでいます。現在、約三十品目の食品添加物、七十品目の香料が対象にあがっています。
同省は、六月に食品添加物協会や香料工業会に通知を発し、新たな食品添加物の指定を積極的に申請するよう促しました。国際的に広く使われていることを理由に、通常は数年かかる安全性確認の手続きも省略する方針です。さらに七月には、未認可のフェロシアン化物の輸入食塩への添加が発覚した事件について、回収もさせず、食品衛生審議会の審議も始まらないうちに、職権で認可方針を決定してしまいました。
厚生労働省の発表資料でも、昨年七月一日以降の違法添加物使用事件は四十を超えました。とくに協和香料化学の事件では、同社の違法添加物製品の供給をうけた会社は数百社にのぼり、製品回収などで数十億円の損失が伝えられています。認可添加物を広げる背景には、これ以上の損失を恐れる業界から、認可を拡大するよう圧力が強まっていたことが、指摘されています。
食品衛生法を一九七二年に改正したとき、「食品添加物の使用は極力制限する」ことが国会で付帯決議されています。国が業者に使いたい添加物を積極的に申請させるのは、この原則を投げ捨てることにほかなりません。業界の利益を優先し国民の安全に対する責任を放棄するものです。
検査・指導体制を抜本強化して法令を守らせ、食の安全確保や消費者の権利確立のために基準や制度を強化することこそが求められています。
(清)
〔2002・8・24(土)〕