2002年8月28日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本政府はなぜアメリカに、国民のいやがることをやめてくれといえないのですか。借りでもあるのでしょうか。(兵庫・一読者)
〈答え〉 アメリカいいなりが日本の政治の特質になっているのは、二つの理由があります。一つはアメリカが、戦後日本を単独・全面占領していた事態も利用して対米従属のしくみをつくり、それが現在も続いていることです。もう一つは、自民党や財界もアメリカの要求に積極的に従うことに大きな利益を見出してきたことです。
アメリカは日本を全面占領していた時期から、日本全土の軍事基地化をすすめ、その後も安保条約によって世界への出撃拠点である米軍基地を固定化し、自衛隊の増強を促しました。経済的にも、前近代的な財閥を解体しただけでなく、占領時代の統制経済などをつうじて重工業を重点強化し、新しい独占企業グループとして再編・強化をはかりました。このもとで、財界・大企業や、アメリカと大企業に協力する官僚機構、自民党に合流する政治勢力が形成されました。
日本の自民党勢力や財界・大企業は、その後もアメリカの軍備増強や石炭つぶし、経済「自由化」などの要求に積極的に呼応してきました。これらは国民生活や農業・中小企業に犠牲を押しつけるものでしたが、軍事大国化や軍事産業の育成、海外進出など、自民党の野望や財界の利益にも通じるものでした。
こうした路線が半世紀もつづいた結果、自民党政治家などは安保ぬきの政治は考えられなくなっています。核先制攻撃も言明するブッシュ政権に抗議もせず、対イラク戦争準備にも追随するのはそのためです。国民が反対する、自衛隊の海外武力行使に道を開く有事法制に執念をもやしています。また経済政策でも、ドルを支えるための超低金利政策は金融政策の手段を失わせ、日米構造協議で野放図な公共投資を対米公約したため財政的なけじめもなくなるなど、対米追従の害悪は深刻なものになっています。
(水)
〔2002・8・28(水)〕